ノルディックスキー・ジャンプ女子の伊藤有希(22=土屋ホーム)が、もう一つの“関門突破”に意欲を示した。

 W杯日本開催の4戦(札幌、蔵王)で初優勝を含む3勝を挙げた伊藤は25日、欧州遠征に出発した。77戦目にしてつかんだ頂点に「たくさんの方々が見に来てくれた。それが一番パワーになる」と破顔一笑。W杯総合優勝も視野に入れ「アプローチの滑りが課題」と向上心を燃やした。

 大ブレークしたとはいえ、まだ海外W杯での優勝経験はない。ジャンプ関係者が「伊藤は海外の転戦が弱点。ジャンプ台が変わるので」と指摘するように、伊藤に求められるのは“転戦力”。各国で形状も違えば、ジャッジタワーやスタートハウスの位置も異なる。伊藤も「ジャンプ台が変わっていく中で、対応力をつけていかないといけない」と気を引き締める。

 今回遠征するルシュノブ(ルーマニア)は海外のW杯で初めて表彰台に立った相性もあり、チャンスは十分。「海外のほうが、自分を見てる人がいないので気楽」と気負うことなく3連勝を狙う。

 一方、国内4戦で勝ち星がなかった高梨沙羅(20=クラレ)は「短期間の中で自分を立て直すことができなかった。切り替えができなかった」と“切り替え力”を課題に挙げた。札幌ではアプローチの姿勢がわずかに乱れ、スピードに乗れなかった。蔵王では修正したものの、感覚は戻り切っていない。そんな中での海外は気分転換の好機。再浮上につなげられるか。