【リオ五輪マル秘座談会・前編】笑顔あり、涙ありのリオデジャネイロ五輪は表向き(?)無事に閉幕した。日本勢は前回2012年ロンドン大会をしのぐ計41個のメダルを獲得し、4年後の東京大会に望みをつないだ。そんななか、本紙取材班が五輪裏話をさかなにリオで座談会を開催。今回は前編として大会前半の話題を中心に、現地で取材したからこそ知り得たお騒がせ大臣の身勝手行動などを暴露する。

 記者A:治安の悪さや会場整備の遅れなど、いろいろと問題のあった五輪だけど、ようやく無事に終わったな。

 記者B:畳のない柔道場を見たときには驚きましたが、結局、全競技がちゃんと実施されたんですから、なんとかなるもんですね。

 カメラマンC:ブラジルでの「ポケモンGO」のサービス開始を受けて、あちこちと歩き回った開会式当日も、いろんな会場でまだ作業が行われていましたが…。

 カメラマンD:今や遠い昔の話だな。そういえば、タカマツペア(高橋礼華、松友美佐紀組)が金メダルを取ったバドミントンの決勝ではブラジル人の観客から謎の「プレイステーション」コールが起きた。一応、日本を応援してくれていたんだろうな。

 A:ブラジル人にとっては“日本=ゲーム”ってことなんだろうね。まあ、今日は前半戦を中心に話そう。序盤の主役は競泳陣だった。

 B:メダル候補といわれながら結果が出なかったXはリオ入り当初からなんとなく不機嫌でしたね。もともと報道陣とは決して良好な関係ではなかったので、ミックスゾーン(取材エリア)はいつも微妙な空気。萩野公介(22=東洋大)や坂井聖人(21=早大)はメダルを取る前から明るかったので対照的でした。

 A:ミックスを通るのが五輪のルールだから苦痛だっただろうな。

 記者E:通りさえすればいいんですけどね。卓球女子シングルスで石川佳純(23=全農)、福原愛(27=ANA)を破った北朝鮮のキム・ソンイ(22)は誰に話しかけられても完全無視。お国柄もあるんでしょうけど、あれだけ徹底されるとこっちも諦めがつきます。

 D:重量挙げ女子48キロ級の三宅宏実(30=いちご)は逆に報道陣と異常なほどうまくいっていたな。初日の銅メダルにもかかわらず、記者席からは「今大会最大のハイライトだ」って、歓喜の声が聞こえてきたよ。

 カメラマンF:大会に間に合うのかどうかドタバタだったナイジェリアに負けた男子サッカーは残念でしたね。

 E:ナイジェリアは最終的に銅メダルを取ったんだから実力は本物。日本はせっかく連れてきたシェフが五輪の規定でホテルの調理場に入れなかったり誤算もありましたね。選手たちは「そんなにまずくはない」と言っていましたけど。

 B:前半は柔道も頑張りましたよ。日本のメダル第1号の女子48キロ級近藤亜美(21=三井住友海上)は疲労困ぱいで悔し涙を流しているにもかかわらず、知らないオバサンから強引に「写真、写真」と迫られてあっけにとられてました。

 A:知らないオバサンって?

 B:よく見たら丸川珠代五輪相(45)でした。結局、何枚か写真を撮ったら、特に祝福する様子もなくどこかに行っちゃいました。

 E:空気を読まない人ってどこにでもいるもんですね。テニスの錦織圭(26=日清食品)も準々決勝後、取材が終わったつもりで歩き始めたら、くりぃむしちゅーの上田晋也(46)に呼び止められて、かなりムッとしていました。

 A:そう考えると、今回は東京五輪組織委の森喜朗会長(79)に元気がなかったな。

 E:失言を期待してたんですか? なかなか趣味が悪い(笑い)。

 F:強盗偽装のライアン・ロクテ(32=米国)は失言の域を超えましたね。

 A:実際に足を運んだ五輪施設で一番、ゴミが散乱していたのは選手村だった。いくらスポーツをやっても人格形成にはつながらないことが改めてよく分かったよ。

 B:日本は「人間力なくして競技力向上なし」を旗印に、過去最多のメダルを獲得したんですから。そんなこと言ったら怒られますよ。(後編に続く)