リオ五輪開幕目前なのに収まらない「ジカ熱」騒動

2016年06月21日 10時00分

 リオデジャネイロ五輪の開幕まで50日を切った中、開催地のブラジルで深刻な問題となっているジカ熱への対策に、各国の選手団が頭を悩ませている。安全宣言を出す大会組織委員会をヨソにジカ熱への感染を恐れ、事前に精子を凍結保存する選手・関係者が出てきたのだ。

 ジカ熱はウイルスを持った蚊に刺されたり、性交渉などで感染する。症状は発熱や発疹、目の充血などでいずれも軽く、約8割の人で症状が出ないとされる。一方で手足のまひを伴う「ギラン・バレー症候群」を引き起こす可能性も指摘され、妊婦が感染した場合、子供に小頭症が出る恐れもある。

 世界の研究者や医師の150人が先月、五輪開催の延期か別の場所での開催を要望する声を上げたが、大会組織委員会は現地が冬場で蚊の発生が少ないことを理由に「感染リスクは極めて少ないかゼロ」と発表。WHOも同様の見解だが、選手らの不安は拭えない。

 米ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)によれば、米国男子バレーボールのジョン・スペロー監督(44)は、五輪中にジカ熱に感染した場合を想定し、精子の凍結保存に踏み切った。

「妻と私は子供をもう1人欲しいと思っている。私はもう若くない。ジカ熱にかかりたくないし、子づくりをあと1年待つとかもしたくない。ジカ熱予防には気をつけているが、それでリオに行かないということはなく、こうして今、対策を講じている」とスペロー監督は同紙に述べた。

 自転車の米国代表、ティジェイ・バンガーデレンは感染を恐れ、代表チームから外すように願い出ている。選手によっては、リオまで応援に来る予定だった家族や友人が見合わせるケースもあるようだ。「弟の妻が妊娠しているから、彼は来ない」と話すのは米男子バレーボールのマーフィー・トロイだ。

「残念だ。以前は来るつもりだったが、もう来られない家族や友人がいる。選手としてはできることはあまりないが、スプレーの用意や長袖を着て、室内にいることで蚊に刺されないように準備することはできる。実際のリオはメディアが言うほど悪くないと聞いている。でも気楽に構えてはならないし、できるだけ準備はしたい」

 精子を凍結保存するのはスペロー監督に限らない。英国の走り幅跳び代表のグレッグ・ラザフォードもすでに行い、スペインのバスケットボール代表のパウ・ガソルも検討中だという。

 感染したジカ熱のウイルスは精液に多く吸収され、発症から41日間程度は感染力が残る可能性があるとされる。感染後に症状が出なかった男性でも、性交渉で相手が感染した例があるなどとし、日本の国立感染症研究所は流行地に滞在した場合、少なくとも8週間は性交渉でコンドームを使用するか性交渉自体を控えるべきとの見解を示している。

 五輪組織員会は4年前のロンドン五輪の3倍に当たる45万個のコンドームを準備して選手に配布する予定で、「夜のオリンピック」にも励めるように各国選手団を安心させようとしているが、参加者の本音は“恐怖”でしかない。凍結保存者まで出た現状で、リオ行きをドタキャンする選手も出てきそうだ。

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