32年ぶりの五輪出場を決めたリオ五輪水球男子代表の必殺戦術「パスラインディフェンス」に思わぬ落とし穴が見つかった。

 12日、日本代表は横浜市内で強豪のモンテネグロと練習試合を行い、6―9で敗れた。大男が揃うモンテネグロは、大本洋嗣監督(48)が「五輪で金メダルを取ってもおかしくない」と評価する欧州のトップチーム。善戦と言っていい内容だ。しかし、大本監督は試合中から声を荒らげる場面が目立った。第4クオーターでは微妙な裁定を下したレフェリーに対し、「国際試合行かして大丈夫? 乱闘になるぞ」と不快感をあらわに。試合後、「暴言を吐いて反省している。あとで謝りにいきます」と発言を撤回したものの、頭に血が上っていた印象は拭えなかった。

 その理由はレフェリーへの不満が蓄積していたことにあった。パスラインディフェンスは相手のパスコースを遮断し、カウンター攻撃で得点につなげる。だが、この戦術の“欠点”をレフェリーに突かれる形となった。

 この日、反則の数は「モンテネグロのほうが2倍くらい多いはず」(大本監督)。しかし、実際はさらに多かったという。「ひいきしていると思われるから、途中から反則を取ってくれなくなる」。パスラインディフェンスは相手との激しいコンタクトを避けるため、必然的に反則が減る。このため、どうしても相手チームとの反則数に開きが出てしまうのだ。これに、中立のはずのレフェリーが影響されているという。

 日本の躍進を支える奇策だが、その裏にある弊害をどう取り除くか。21日からのワールドリーグスーパーファイナル(中国)で試される。