リオ五輪の競泳で萩野公介(21=東洋大)と並ぶメダル候補の入江陵介(26=イトマン東進)が25日、東京・多摩市にある五輪仕様のプール施設「AQiT(アキット)」で公開練習を行った。

 22日までジャパン・オープン(東京・辰巳)に出場していたが「調子はいい。すごくリラックスできている」。体重は66キロ、体脂肪率は10%をキープ。食事面や水温、外気温などのリスクを考慮し、ギリギリまで国内で調整することに決めた。道浦健寿コーチは「あまり弱音を吐かなくなった」とリオにかける愛弟子に目を細める。

 ここまで入江が意気込むのも、ひそかな思いがあるからだ。

「今年、父の智英さんが退職するんです。入江は五輪でメダルを獲得して、それを“退職祝い”にしたいんですよ」(入江に近い関係者)

 大阪の生花店で仕入れ業を営む智英さんは、入江が3歳のころから妻・久美子さんとともにプールに送り迎えしていたという。3人兄弟の末っ子で甘えん坊の入江は、結果が出ずにしょげ返ることもしばしばだったが、そんなときに励まし続けたのが智英さんだった。その父が退職するとなれば、奮起しないはずがない。「当日は会場に両親が来るんです」と本紙にうれしそうに語った入江。「自身の集大成」と位置づけるリオ五輪で、悲願の金メダルを退職祝いにすることができるか。