未成年のスノーボード強化指定選手2人が、昨年末の米国遠征中に大麻を使用した問題で、かつて同様の“疑惑”をかけられた元スノーボードハーフパイプ日本代表の成田童夢(30)が、当時の心境を告白した。

 モーグルでは2002年、強化指定選手が、14年には元スノーボードハーフパイプ日本王者が大麻取締法違反で逮捕されているが、実はトリノ五輪前年の05年に今回とよく似た事例が起きている。

 当時19歳の男子選手が競技会のドーピング検査で大麻の陽性反応を示し、国際スキー連盟(FIS)から10か月の資格停止処分を受けたのだ。選手は使用を否定し、処分期間を経てトリノ五輪出場を果たした。

 この時、とばっちりを食らったのが、現在オタク系タレントとして活躍する成田だ。「当時『19歳の強化指定選手に大麻の疑い』と報道された。2人しかいないので、同僚の僕が“犯人”として世間に疑われた。まだ五輪代表に選ばれてない段階で、五輪に行けるか分からなかったし、悪評からスポンサーが逃げるのではと不安で仕方なかった。なんとか五輪には出場できたが、競技どころではなかったのが正直な気持ち。結果に影響しなかったといえばうそになる」

 当時、陽性反応が出た選手は成田の問いかけに「やってるわけないじゃん。練習に明け暮れてやるひまもない」と使用を完全否定。そのため成田は同情していたという。

 今回は毛髪検査の結果、2選手とも大麻使用の痕跡が認められたが、1人は否定している。全日本スキー連盟(SAJ)は2選手に連盟会員登録、競技者登録の無期限停止、強化指定選手の取り消しなどの処分を決めた。

 成田は「海外には原則、大麻の使用がOKな場所があり、外国人選手はたばこのような感覚で吸っている。祝い酒みたいな感じで回されて手を出したのかも。だが、副流煙を吸ってしまった“冤罪”であれば話は別。僕もゴンドラに乗っている時に変な香りをかいでしまい、怖くなったことがある。将来のある若い選手にとってすごく重い処分なので、間違いのないよう慎重に調査してもらいたい」と語った。

 スノーボード部の部長やコーチにも処分が下る見通しだが、成田は「個人に責任をなすりつけて終わり、だけは絶対にダメ。2010年に國母和宏選手(27)が“腰パン事件”を起こしたように、スノボの世界はどこか遊び気分のチャラいゆるさがある。だが、日の丸を背負うからにはスポーツマンとして最低限のマナーは守るべき。コーチの教育で選手は変わる。技術だけでなく精神面を含めたSAJの教育体制の強化が望まれる」と厳しく指摘した。