プロの厳しさ知った若ゴイ・堂林

2012年11月02日 16時00分

<連載:広島カープはなぜ失速したのか(下)>既にチーム内からも「リーダーになれる選手をつくっていかないといけない」という声は出ている。今季は137試合に出場した7年目の梵がナインを集め選手ミーティングを行うなど、その芽は出つつある。来季の躍進のためにはリーダーの出現が条件になる。

 野村監督は就任3年目となった今季、開幕から大胆なさい配を振るった。中日戦との開幕ゲームでは一軍経験なしの高卒3年目・堂林を抜てき。さらに、3戦目には捕手登録ながら打撃がいい会沢を1番・右翼でスタメン出場させる超攻撃型布陣をしいた。これまでの手堅い起用から一変して「今年は違うぞ」という面を見せた。

 ニック、東出など主力選手の相次ぐ離脱で危機に陥った6月にはまた、春季キャンプは二軍スタートの天谷、岩本、4年目の安部、ルーキーの菊池などを積極的に起用。これがチームに勢いを生み、世代間の競争も活発になった。

 だが経験に乏しいしい若ゴイがシーズンを通してそのパワーを維持するのは難しく、次第に元気を失っていった。それに歩調を合わせるようにチームも後退。野村監督自ら打撃指導を行うなどあの手この手を尽くしたが、最後までうまくいかなかった。

 堂林は144試合全試合に出場。前半戦は好調だったが、対策を立てられた後半戦は快音が影を潜めた。初の一軍とあって疲労の色は隠せなかった。

 チーム内からは「一度、スタメンを外したほうがいいのでは」という声もあがったが、将来の期待を込めて指揮官は起用を続けた。結果として球団記録を塗り替える150三振をマーク。守備では29失策を記録するなどプロの厳しさを知るシーズンとなった。球団幹部は堂林について「今年はレギュラーを取ったのではなく、与えられたもの。今季の経験を糧にしてほしい」という。

 堂林だけではない。他の若手も立場は同じだ。台頭し始めた若い力を伸ばし、花を開かせることができるかどうか。来季、広島がAクラスの壁を突破できるかどうかは、そこにかかっている。