東京五輪見据え対策に498億円 サイバー戦略は成功するか

2016年01月27日 10時00分

 政府は25日、閣僚と有識者による「サイバーセキュリティ戦略本部」の会合を官邸で開き、2020年東京五輪・パラリンピックを見据えたサイバー攻撃に対処するための方針を決定した。

 05年に設置された「内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)」は、これまでインターネットを通じた政府機関を狙った不正アクセスだけが監視対象だった。

 5月の伊勢志摩サミット、20年の五輪とパラリンピックに向けて、今国会で「サイバーセキュリティ基本法の改正案」の提出を目指している。

 同セキュリティセンターは法改正された後、監視、監査、原因究明調査の対象範囲を特殊法人にまで拡大する。

「現在、NISCの職員は情報処理推進機構(IPA)との併任職員を含めて140人規模です。政府は16年度予算案にサイバー対策関連の事業費計約498億円を計上した。来年度末にかけて180人規模に増員する方針です」(政府関係者)

 不正アクセスは世界中のどこからでも可能だ。日本年金機構のシステムから個人情報が流出した事件では、ウイルスが仕込まれたファイル付きのメールが十数件送られ、いずれも業務関連を装った内容で、特定の組織を狙う標的型攻撃メールだった。

 政府はやっと重い腰を上げたが、東京五輪の開催に向けてサイバーセキュリティーを確保するには、まだまだ多くの課題が残されている。

「現状は官よりも民間が弱いことです。国内ではサイバーセキュリティー分野の企業がベンチャーを含めて、育っていないことも挙げられている。今後は人材育成をはじめ、サイバーセキュリティー企業を多く生み出す環境整備が不可欠だと言われています」と前出の政府関係者は指摘した。