帝拳ボクシングジムは8日、所属するロンドン五輪金メダリスト・村田諒太(29)が、30日に中国・上海でプロ9戦目となるミドル級10回戦を行うと発表した。元世界王者との対戦経験もあるガストン・アレハンドロ・ベガ(32=アルゼンチン)と対戦する。

「拳で、怖いと相手に思わせられるように」と、都内で試合への意気込みを語った後に行われたスパーリングは当初、2ラウンドが予定されていた。

 ところが、開始から1分半ほど過ぎたところで相手のメキシコ人ボクサーに異変が発生。短い中断後に再開したものの、ラウンド終了後にトレーナーが「これ以上続けるとパートナーが危険な状態になってしまうので、終了します」と急きょ打ち切られてしまった。

「たぶん、右が効いたんだと思います」と解説した村田。この“KO”こそ2016年への決意の表れだった。

 昨年11月にはラスベガスで米本土デビューを飾ったものの、結果は倒しきれず判定勝利。「後ろに体重が乗っていた。あれでは強いパンチは打てない」と振り返る。

 その理由は、どこかで「金メダリスト」の肩書を守ろうとしている自分がいたのだという。

「そういうのは人として、自分の中ではあまり好きじゃない」。倒すか倒されるかの原点に戻って、ボクシングをリスタートさせるとの思いがこもった、この日のパンチだった。

 現在、主要4団体すべてで世界挑戦資格のある15位以内にランクイン。急に世界戦が決まる可能性もあるだけに、北京でしっかりアピールしておきたいところだ。