ノルディックスキー・ジャンプ男子の“レジェンド”葛西紀明(43=土屋ホーム)が“イチロー級待遇”を手にした。

 新シーズンの開幕に向けて26日に都内で会見した葛西は、W杯史上最年長優勝記録の更新をはじめ、個人総合優勝、世界フライング選手権(来年1月、オーストリア)金メダルなどの野望を口にし、自信を漂わせた。

 その目標達成に向けて問題なのは体重の管理だ。ソチ五輪後、葛西は講演やイベントなど本業以外の仕事に忙殺。さらに会食が続いたため「(体重管理が)今までの中で一番つらい」と漏らすほど。かねて取り組んでいる断食(1回につき3日)の回数を4回に増やし、何とか状態をキープしているという。

 これまでは「40歳で1回、42歳で2回」(葛西)と断食はわずかな回数だった。しかし、体重管理のためとはいえ、短期間に4回もの断食を行えば、反動で栄養不足に陥ったり、筋力や体力を維持できなくなりかねない。場合によってはジャンプ台に立つことができない危険性もはらむ。

 まさにリスクのある調整法と言えるが、全日本スキー連盟(SAJ)はレジェンドの方針を黙認している。その理由についてSAJ関係者は「技術に関しては世界で5本の指に入る選手。好きにやればいい。野球で言えば、イチローに教えるヤツはいないでしょ。葛西もそういうレベル」。

 葛西に一切、口出ししないのは昨年の例もあるためだ。下馬評をヨソにW杯最年長V記録を更新。「きっちり優勝しちゃったからね。ソチの時もそうだけど、練習もほかの選手の半分くらいしかやってない。飛びたいなって時にやればいいんですよ」(同)。葛西の存在感は膨らむ一方だ。