五輪エンブレムに続き、またも撤回となりそうだ。

 佐野研二郎氏(43)がデザインしたロゴを使用する予定だった公共施設「おおたBITO 太田市美術館・図書館」(群馬県太田市)について、清水聖義市長は7日、見直す方針を固めた。

 同施設は7月に着工、来年10月に完成予定。早々と発表された佐野氏のロゴをめぐっては、ネット上で米国デザイナーのジョシュ・ディバイン氏のものに酷似していると指摘されていた。ディバイン氏も一部メディアの取材に「形や色、姿において酷似している。私の作品から派生したデザインかもしれない」と述べ、法的措置を検討していることを明かしていた。

 当初、清水市長は「いいデザインなので変えない」と発言していたが、直後から批判的なメールが急増。ネット上では佐野氏だけでなく、清水市長にも誹謗中傷が寄せられた。

 これを受け、市は方針を転換。4日、施設の設計段階で意見を聞いた市民70人にアンケートを実施した。その中身は、(1)佐野氏のロゴを使う、(2)撤回して改めて一般公募するというもの。集計の結果、38人から回答があり、(1)が5人、(2)が26人、その他が7人だった。

 市は20日発行の広報紙でも市民から意見を募る考えだが、途中経過の時点で圧倒的多数が「撤回」を支持しており、見直しは決定的だろう。

 今回の見直しは、ほかの“佐野作品”にも波及しそうだ。似たような例では、佐野氏デザインの「東山動植物園」(名古屋市)のロゴが、コスタリカの国立博物館のマークと類似している問題が挙げられる。

 同園は現在、事実関係を調査中。業界関係者は「今後も雪崩式に“佐野作品”を撤回するところが出てくるだろう。これはデザイナーにとっては耐えられない屈辱。佐野氏が逆に訴えることも考えられる」と話す。

 もはや佐野ブランドは疑いの対象となっているかのようだ。