デザイナーの佐野研二郎氏(43)が手掛けた2020年東京五輪エンブレムの盗作騒ぎが、またまた炎上だ。修正され、日の目を見ないはずだった佐野氏のエンブレムの原案が公表され、他の作品と酷似していることが判明。佐野氏の盗用疑惑はますます膨れ上がる事態になっている。
エンブレムを巡る騒動では8月28日に五輪組織委員会が会見を開き、これまで秘密裏にされていた佐野氏が応募した原案が公開された。現デザインとは日の丸の位置が異なり、左上と右上のTの字をかたどるパーツも三角形だった。
ベルギー・リエージュ劇場のロゴと酷似しているとして、同ロゴのデザイナーらから使用差し止めの訴訟を起こされた五輪エンブレム。組織委の武藤敏郎事務総長(72)は「原案には劇場ロゴとは異なる特徴がいくつもあり、オリジナルであると確信している」と会見で説明し、審査委員代表を務めたグラフィックデザイナーの永井一正氏(86)は「原案は劇場のロゴとは似ていない」と佐野氏の潔白を主張した。
ただ、この原案はコンペで選ばれた後に登録商標の類似調査をしたところ、似たデザインが見つかったために佐野氏に2度の修正が要請された。組織委は類似デザインを明らかにしていないが、スペインの時計メーカー「TIME FORCE」の旧ロゴとみられるものとデザインの構成が似ていたとみられる。
しかし、この時計メーカーよりももっと酷似したデザインが見つかった。2年前に東京・銀座で開催されたドイツのタイポグラファー、ヤン・チヒョルト氏(故人)の展示会のポスター等でデザインされた「T」と形、配置がうり二つなのだ。
しかも佐野氏のツイッターでは、同展示会を訪れ、絶賛している過去のツイートまで発見されている。ネット上では「やっぱり」との声があふれたのは言うまでもない。ちなみに展示会場となった「ギンザ・グラフィック・ギャラリー」は永井氏が監修を務めている。
結局、佐野氏の原案は修正を余儀なくされたが、今度はベルギー側から提訴された。なぜ佐野氏の作品はこんなにも他人の創作物に似てしまうのか。代理店関係者は「アルファベットなどシンプルなものはどうしても似てしまうだけに、模倣とならないようにより慎重に調べ、クレームがつかないようにするものですが…」と首をかしげる。
さらに、佐野氏が原案デザインの展開例を示すために用意した資料にもパクリ疑惑が持ち上がった。羽田空港のロビーや渋谷スクランブル交差点前で五輪エンブレムの垂れ幕や看板がかかったイメージ図だが、街の風景や通行人、空港のデザインなどが個人のブログに投稿された写真をトレース(描き写し)したとみられるのだ。この画像に記されたコピーライトの文字を削除するなどの細工も施したとみられ、ネット上では著作権侵害も指摘されている。
「身内で使う資料ならともかく、公式で申請する資料に拾ってきた画像を使うなんて、ド素人過ぎる。佐野氏は五輪エンブレムの作成はスタッフに頼まず一人でやったというが、佐野氏クラスがわざわざ資料用のイメージ図を自ら作ったとは思えない。(一部盗用を認めた)サントリーのバッグと同じでスタッフに任せたのではないか。もちろん監督責任は佐野氏にあります」(前出の関係者)
釈明すればするほど次々と持ち上がる佐野氏への疑惑。武藤氏は「(五輪まで)長い間、(エンブレムは)さまざまな展開をしていくことになる。エンブレムの素晴らしさを国民の皆様にできる限り、お伝えできるように我々が努力したい」との姿勢を示すが、疑問は深まる一方だ。
【五輪エンブレム盗作疑惑】なぜ佐野氏の作品は他人の創作物に似てしまうのか
コメント