【中国・北京25日発】陸上の世界選手権第4日、男子200メートル予選でサニブラウン・ハキーム(16=東京・城西高)が20秒35の4組2着で26日の準決勝に進んだ。1組の藤光謙司(29=ゼンリン)は20秒28の2着、2組の高瀬慧(26=富士通)は20秒33の4着で予選を通過した。

 サニブラウンは「後半間延びして脚が回らなかった。そこを修正したらもっとタイムは出る。プレッシャーとかもあって集中しにくかったが、自分の走りをすれば大丈夫と思った。準決勝は泣いても笑ってもすごい舞台。全力で挑みたい」と笑顔でコメントした。

 7月の世界ユース選手権(コロンビア)では2003年にウサイン・ボルト(29=ジャマイカ)がマークした20秒40を超える20秒34で優勝しており、世界トップの舞台でも実力を示した。

 同じ予選4組でトップ通過した100メートル銀メダルのジャスティン・ガトリン(33=米国)は「私の走りは遅かったが、サニブラウンがかなり押し上げた。驚くべき若者だね」とたたえた。まだ走りには荒さがあるものの、潜在能力の高さを証明したようだ。

 幼いころはサッカー少年だったが、短距離で高校総体に出場した経験のある母・明子さんに「集団競技は向いていない」と勧められた陸上を小学3年で始めた。

「最初は結構、嫌々だった」と明かすが、才能は花開く。昨年は全国高校総体2位。ことしの日本選手権では100メートル、200メートルとも2位に入り、世界ユース選手権でボルトの大会記録を更新したことで、一躍注目の的となった。

 そんなスーパー高校生は、トラック外でも自然体を貫く。今大会も睡眠をたっぷり取るなどマイペース。宿舎で同室の藤光も「度胸がすわっている」と感心する。

 3グループに分かれる準決勝では2組となり、尊敬するボルトとは別組になった。27日の決勝に進むことができるのは、各組2着までと3着以下のタイム上位2選手まで。これをクリアできれば、ボルトが持つ世界陸上男子200メートルでの最年少決勝進出記録(18歳355日)を更新する。

 今年2度目の「ボルト超え」を果たして、人類最速ランナーと対決したいところだ。