【五輪エンブレム盗用騒動】組織委あきれた逆ギレ

2015年08月19日 10時00分

会見をしなかった佐野氏

 デザインを盗用されたと主張するベルギー人デザイナーらから訴えられている2020年東京五輪のエンブレムをめぐる混乱が、日に日に大きくなっている。17日、五輪組織委員会はベルギー人デザイナー側を非難する声明を発表した。火に油を注ぐ声明だ。そんななか、佐野研二郎氏(43)にパクられた米国人デザイナーが“新五輪エンブレム”を発表。パクリ疑惑騒動は収束の気配を見せない。

 組織委は「書面によるわれわれの詳細な説明に耳を傾けようとせず、提訴するという道を選んだ」「自らの主張を対外発信し続けて提訴した。このような態度は、公共団体の振る舞いとしては受け入れがたい」と厳しい調子で相手を非難。ベルギー人デザイナーのオリビエ・ドビ氏の権利を「一切侵していないとする立場に変わりはない」と、エンブレム使用差し止めの訴えを無効とした。まさに逆ギレ。“おもてなし”精神のかけらもない組織委にあきれる声もある。永田町関係者は「調べてみると、ロゴを盗用されたというリエージュ劇場は、思っていたのと違った。地方の小さい劇場かと思っていたら、ベルギーの王様が造った建物が起源になるんだって。わざわざあおらなくてもいいのに」と話す。

 組織委は、ベルギー王室を敵に回すつもりか。

 リエージュ側は「ピンタレスト」にロゴをアップしていたと主張。利用者が画像をアップでき、その画像を第三者が無料で見ることができるサイトだ。佐野氏は5日の会見で「(ピンタレストを)見ておりません」と否定していた。しかし、ネットでは「ピンタレストに佐野氏のメールアドレスを打ち込むと使用中と出る。見ていたはず」との検証がなされている。

 その佐野氏は5日の会見以降、沈黙を貫いている。14日以来、一部報道で「17日に会見する」とされたが会見せず。ネットユーザーらは「逃げたのか」と大騒ぎ。実際は14日深夜の時点で佐野氏のデザイン事務所広報担当者が「17日に会見はしません。(中止ではなく)そもそも、そんな予定がありません」と明言していた。にもかかわらず、今や佐野氏は“逃亡者”扱いだ。

 佐野氏は18日に京都で講演する予定。出席すればまた大騒ぎだが、佐野事務所スタッフは「出欠についてお答えしていません」。広報担当者は取材に応じることもなかった。結局、組織委ではどうすることもできず、新国立競技場の当初計画撤回のように、官邸の“鶴の一声”が出る事態になるのか。

 さらに佐野氏を窮地に追い込んでいるのは、五輪エンブレムのデザイナーという栄誉を受けた直後に発表された佐野氏デザインのトートバッグだ。サントリービールのキャンペーン用トートバッグについて、「ピンタレスト」にアップされているパクリ元画像が続々と発覚。佐野氏は計30種類のうち8種類については取り下げ、「部下がやった」として後に盗用も認めた。パクられ元のうち「BEACH」のロゴがバッグに盗用されていた米国デザイナーのベン・ザリコー氏は法的手段を口にして、騒動への関心は米国民にも広がる勢い。

 そのザリコー氏が、今度は事務所のフェイスブックで「新しい五輪のロゴをデザインして佐野氏に挑戦する」と宣言。

 17日にフェイスブックに“新五輪ロゴ”を投稿した。日の丸の下に波がうねっているイラストだ。

 ザリコー氏の説明によると「わずかに右もしくは東にある赤い太陽は、太陽と日本の精神を表す一方で、聖火の炎の象徴でもあります。波は太陽の精神に支配されます。その波はTの形状で、東京のTを表し、また聖火(トーチ)の象徴でもあります。これからデザインを洗練させますが、これが基本コンセプトです」。

 絵が粗っぽいのはザリコー氏が手作り看板を専門としており、手描きだからだろう。デザイン関係者は「ラフなデザインの制作過程から公開したのは“パクらないで作るとはこういうことだ”と示したいのでしょう」と指摘する。

 ベルギーだけでなく、米国のデザイン業界まで巻き込んだこの騒動。ここまできたら収束させる手段は、ロゴの取り下げしかないのかも…。