〝別件〟の存在はあるのか――。大手広告代理店電通の元専務で東京五輪・パラリンピック組織委員会の高橋治之元理事(78)が、大会スポンサーの紳士服大手「AOKIホールディングス」から多額の資金を受領した問題で、専門家は新たな疑惑が浮上する可能性を指摘した。

 高橋氏の会社「コモンズ」はAOKIからコンサルタント料の約4500万円とは別に、約2億3000万円を受け取ったことが明らかに。また、その一部を自身が経営するステーキ店の借金返済に使ったとされるが、同店は3日に今月いっぱいで閉店することをホームページ上で発表した。

 スポーツビジネスに詳しい大会関係者は「スポンサー選定を含めて、組織委では特定の人に権限が集中することがある」と証言。その上で「その最たる例として挙げられるのが大会招致。招致の際、高橋さんは間違いなく間に入っていろんなことをやっていたと思うが、もしかすると今回の事件が招致まで発展するかもしれない」と続けた。

 大会招致における不正は2002年ソルトレークシティー五輪で国際オリンピック委員会(IOC)委員の買収工作が発覚。16年リオデジャネイロ五輪では組織委会長が贈賄容疑で逮捕された。同関係者は「やはり招致は、唯一無二の権限を持つところにアタックしないといけないこともある。そういう意味では、不正の土壌みたいなものが自然と形成されてしまうのでしょう」と語った。

 現時点では高橋氏とAOKIの間にある疑惑の捜査が進められているが、さらなる広がりを見せることはあるのか。