五輪競技団体トップの不祥事対応を巡り、明暗がクッキリと分かれた。

 大阪府バレーボール協会の会計担当の理事が約2600万円を着服していた問題で、今年3月に日本バレーボール協会の会長に就任した元五輪代表の川合俊一氏(59)が28日に記者会見を開き謝罪。「泥棒は警察へ突き出す。刑事告訴して罪をつぐなってもらいたい」と不正行為を糾弾した。

 一方で、フェンシングでも29日に「文春オンライン」の報道で不祥事が発覚。日本オリンピック委員会(JOC)から助成金が支給される6月のエペ日本代表合宿(沖縄)で選手らがレジャーに興じていたと報じられた。日本フェンシング協会は30日に公式サイトで謝罪文を公表。昨年6月に会長に就任したタレントの武井壮(49)は自身のSNSで調査を進めていることを明かした上で「近日中にご報告させていただきたいと思います」と記したが、後手に回る対応には疑問の声も上がっている。

 企業の不祥事対応の専門家で広報・危機対応コンサルタントの山見博康氏は「好対照な対応。雲泥の差だ。不祥事が明らかになった時に一番大事なのは初動だ。トップが表に出て説明すること」とズバリ。過去に元日本バスケットボール協会・裁定委員長、元全日本柔道連盟・広報アドバイザーとして不祥事発生後に会見を指導した経験を踏まえて指摘した。

 今回の川合会長の対応について「大阪府の協会に丸投げせず、すぐに自分が大阪に飛んで会見に同席したことは非常に評価できる。経緯もきちんと説明し、何より『泥棒』の発言は単純でストレートで伝わりやすい。この対応には感銘を受けました」と絶賛する。

 武井会長には「責任者としてあるまじき行動。どの程度、業務に関与しているか分からないが、会長である以上は説明は責務。トップとして監視義務があるので知らなかったでは済まされない」と厳しい言葉を並べた。