日本ソフトボール界のレジェンド・上野由岐子(39=ビックカメラ高崎)が23日、都内で開催された日本オリンピック委員会(JOC)主催の「TEAM JAPAN シンボルアスリート・ネクストシンボルアスリート」の認定式に出席した。

 2008年北京五輪に続いて昨夏の東京大会で2個目の金メダルを手にした上野。高い競技力と人間力を持ち、スポーツの価値を社会に広める役割を担う「シンボルアスリート」に継続認定され、ステージ上で「本当に光栄に思います。ソフトボールを通して子供たちに夢を与えられるような競技であるように、さらに精進したい」と話した。

 来月40歳となる右腕は数々の伝説を残してきた。日本中に感動を与えた北京大会から13年ぶりとなる東京大会でも再びマウンドで力投。長く競技を続けられる秘訣について「まず一番はお互い助け合う仲間がいること。そして私自身がソフトボールが大好きで、プレーすることを楽しみ、さらにもっとうまくなりたい思うライバルが国内、海外にたくさんいてくれること」と語った。

 しかし東京大会の歓喜後、ソフトボールは再び五輪競技から除外。現在は2028年ロス五輪での採用を目指している。上野は「そう簡単にオリンピック種目に戻るとは思っていないですけど…」と言いつつも、復活への熱い思いを口にする。

「ソフトボールが楽しくて素晴らしくて、どれだけ人の心を動かせる競技かを知ってもらえるか。どれだけ私たちがグラウンドで表現していけるかがすごく大事になってくる。(28年大会は)米国で開催されるからこそ期待も大きいですし、再度オリンピックの舞台に戻りたい強い思いは変わらない。今、私たちがやるべきこと、できることを少しずつ積み重ねていければいいと思います」

 一方、新型コロナウイルス禍での東京大会を経験し、新たな学びもあった。上野は「賛否両論ある中で開催され、本当に開催して良かったと思えるオリンピックだった、これがスポーツの力なのではないかという思いを強く抱きました」と振り返ったうえで、スポーツを通した「社会貢献」にも言及した。

「競技を問わず、世界に日本の強さや素晴らしさ、政治的な何かを発信することは可能だと思う。政治とスポーツが共有することで、さらに強い日本国をつくっていけるのではないのか。それを担っていくのが私たちアスリート。シンボルアスリートとして、チームジャパンの一員として、私たちができることを一つずつ積み重ねていくことが大事だと思います」

 競技普及と6年後の〝奇跡〟を目指し、レジェンドは再び歩み始める。