スピードスケート界に一石を投じる挑戦がスタートだ。北京五輪で1000メートルの金を含む4個のメダルを獲得した女子の高木美帆(28=日体大職)が16日に都内で会見を行い、今後はナショナルチーム(NT)を離れ、昨季限りでNTのコーチを退いたオランダ人のヨハン・デビット氏(42)と新チームを結成し、現役を続ける意向を明らかにした。

 自らいばらの道に飛び込む決断を下した。高木は「NTが発足して8年、ずっと活動させていただいてきましたが、一つ私の中で北京五輪という大きな目標が終わり、また一歩外に出てみてもいいのかなと考えている自分がいた」と心境を明かした上で「将来的にNTと他のチームが競い合いながら、高め合いながら日本のスケート界が盛り上がって、活性化する未来があればいいなと考えています」と展望を語った。

 拠点は固定せず、時と場合に応じてオランダと日本で練習を重ねる方針。今後のプランはまだ不透明な部分が多いものの、デビット氏は「長期的なゴールとしては世界で一番強いチームを作りたい。国際的なチームになるかは考えているところだが、世界で一番ベストなチームは選手だけでなく、スタッフも含め、みんなが世界で一番強いチームになるという志を持って、日々努力し、改善し、強くなっていくチームです」とコメント。現状では選手は高木1人だが、将来的には複数の選手やスタッフを集めた最強チームを目指すという。

 日本スケート連盟が強化の柱としてきたNTを飛び出して、あえて知らない世界に飛び込む道を選んだ。「新しいチャレンジになるが、また一つの道をつくれるように頑張っていきたい」。高木の言葉の節々からは覚悟がにじみ出ていた。