決め手は〝競技愛〟だ。トランポリンの元世界女王で東京五輪代表の森ひかる(22)が化粧品製造販売「イフイング」のブランド「TOKIOインカラミ」と所属契約を結び、プロ選手として新たな一歩を踏み出した。

 金メダルが期待された昨夏の東京五輪ではまさかの予選敗退に終わり、現役引退も考えた。昨年11月の世界選手権後には、金沢市内のすし店で人生初のアルバイトに挑戦した。「楽しかった」と充実した日々を過ごした一方で「頑張ることっていいな、素敵だな」とトランポリンへの思いが再熱。2月中旬に自ら営業活動をスタートし、4月1日付で新たな所属先が決まった。

 同社の冬広應尚代表取締役社長は、契約に至った経緯を次のように明かす。「森ひかる選手はいちずに競技に取り組んでいる。(同社に)所属する(スノーボードの)平野歩夢選手も競技以外のことにあまり興味がない感じですし、サポートしている(スピードスケートの)高木美帆選手もそんな感じ。競技にかける集中力は3人とも共通しているし、同じにおいがしますね」。北京五輪の金メダリストと通じる競技への情熱が、冬広社長の心を動かした。

 森は9日の会見で「金メダル取ります!」と2年後のパリ五輪での目標を力強く宣言。強力なサポートを得て、東京五輪のリベンジを狙う。