北京五輪スピードスケート女子1000メートル金メダルの高木美帆(27=日体大職)が5日、都内で会見を開き、現役引退を表明した姉・菜那へ感謝の言葉を送った。
姉妹で長年にわたりスピードスケート界を引っ張ってきたが、同日の午前中に実施された引退会見で姉・菜那は「高木美帆の姉ではなく、高木菜那として戦えたことが引退を決意した理由です」などと、随所に妹・美帆に対して謝辞を述べる場面が目立った。
現役引退を表明した姉・菜那について、高木美は「自分のなりたい姿、目標に向かってひたむきに頑張るところを妹として幼いころから近くで見てきた。自分のスケートに対する姿勢など、影響を受けたところがたくさんあると思う」と神妙に語った。
負けん気の強い姉・菜那の雄姿は、高木美にとっても刺激になった。
「私がスケートで自分の道を進むにあたって、姉を見ていて努力することが当たり前だった」と振り返る一方で「同じ種目で競い合うライバルなので、相談できることとできないこと、弱みを見せられるところと見せたくないところがあった」とともに高め合ってきた。
これまでは姉・菜那の背中を見て学ぶのが当たり前だった。しかし、今後は高木美1人で走らなければならない。「ライバルという環境はなくなるんだと感じている。そこは複雑なところで寂しい気持ちもあるが、もう競わなくていいんだという気持ちも少しは心の中にある」と複雑な思いを口にしながらも「(引退会見で)姉が(自分が)『妹でよかった』と言ったのは、そういうことは恥ずかしいが、姉が姉でよかった」と照れ笑いを浮かべた。
高木美いわく「姉妹として仲がいいと思っているし、もちろんケンカもするが、一緒に旅行や買い物に行ったりも普通にする」という仲良し姉妹。今後は普通の姉妹として新たな人生を歩む。