国際オリンピック委員会(IOC)の重鎮がロシアを〝称賛〟する発言を行って大きな波紋を呼んでいる。
IOCはロシアによるウクライナ侵攻を受けてスポーツ界全体の制裁を勧告し、トーマス・バッハ会長が非難声明を出すなどロシアとの対立姿勢を鮮明に打ち出している。
しかしそうした中で、IOCの名誉委員でリレハンメル五輪組織委員会の委員長も務めたノルウェー人のゲルハルド・ハイバーグ氏(82)による発言が物議を醸している。
ロシアメディア「スポーツロシア」によると、ハイバーグ氏は「我々(IOC)は常にロシアに注意を払っている。ロシアはスポーツにおいて素晴らしい大国だ」と称賛。そして「ロシアとベラルーシを国際スポーツ界に戻す方法を考えることは、すべてが終わったときに私にとって重要だ。我々はスポーツを通じて世界をより良い場所にすることに貢献しなければならない。つまり、すべての国がこれに参加しなければならないんだ」。戦争が終結後という前提ではあるものの、現在ロシアによる侵攻が続く真っ最中でいきなりロシアの制裁解除に言及したことで波紋を呼んでいるのだ。
「将来を見据えて、ロシアとベラルーシが戻るという事実に備える必要がある。対話を開始する必要がある。彼らは他の国と同じ条件で戻らなければならない」とハイバーグ氏は重ねてロシアとベラルーシのスポーツ界への復帰を猛プッシュ。
この発言を受けてロシアメディア「Polit」は「IOCのハイバーグ名誉会員が『ロシアを偉大なスポーツ大国』と称した」と誇張して報道し、さっそく〝政治利用〟を始めている。
IOCの中でロシア制裁に対して足並みが揃っていない実情が浮き彫りになった。