嶋岡会長解任のバレー協会・またもミュンヘン組〝失脚〟の悲劇

2022年01月14日 15時31分

 日本のバレーボールにとって金字塔である1972年ミュンヘン五輪の男子金メダル獲得から、今年で50年。当時の選手だった嶋岡健治氏が、現在務める日本バレーボール協会会長を解職されることが13日に決まったとのニュースに、「またか」と思った人もいるかもしれない。  

 2013年には同五輪で世界を制した全日本男子のエースアタッカーだった森田淳悟氏が、協会の強化事業本部長という要職にありながら理事改選で再任されず、協会運営の第一線から退くことを余儀なくされた。これは「異例の事態」とも報じられた。

 栄光のミュンヘン組で相次ぐ〝失脚〟。嶋岡氏の件は、ビーチバレー国際大会に関わる診断書偽造問題の責任を巡って解職判断が下った。森田氏については、協会の赤字決算や全日本男子の監督問題が背景として指摘された。その正否はともかく、元スター選手が不本意な形で役職を去ることは、一抹の後味の悪さも感じさせる。

 さかのぼればミュンヘンで監督としてチームを率いた松平康隆氏も、協会会長在任中に金銭スキャンダルが報じられた影響で95年に辞任。森田氏、横田忠義氏と〝190センチ台トリオ〟をなした大砲の一角・大古誠司氏も同じ年、アトランタ五輪予選を前に全日本男子監督を突然、辞任した。松平、大古、前述の森田の3氏は殿堂入りしたレジェンドだ。

 実写も取り入れた実録アニメ「ミュンヘンへの道」が(TBS系)が五輪を前に同時進行で放送されるなど、バレーボールは現在は当たり前になったスポーツのメディア化を先導していた。背番号「12」で名手・猫田勝敏氏の控えセッターだった嶋岡氏は、イケメン人気選手のはしりのような存在で、女性たちの熱狂を巻き起こしていた。

 厳格なアマチュアリズムが建前とされていたミュンヘン当時、金メダルに列島が感動した〝宴の後〟のように、全日本チームのメディア出演などを巡ってアマ規定違反の疑いが取りざたされた。芸者との遊興は「品位をけがす」と批判にさらされた。

 2002年など、同五輪から節目の年にミュンヘンツアーも行われていたという。この半世紀、松平氏や主将の中村祐造氏、猫田氏、南将之氏ら鬼籍に入ったメンバーも少なくない。嶋岡会長の退任は今後、バレーファンからミュンヘンの記憶をさらに遠いものにしてしまうのか…。

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