全身スーツの “秘密” にスピードスケートあるある…女子第一人者・岡崎朋美氏に聞いてみた

2022年01月08日 05時15分

スピードスケートの奥深さを語ってくれた岡崎朋美氏(東スポWeb)
スピードスケートの奥深さを語ってくれた岡崎朋美氏(東スポWeb)

 冬季スポーツの花形でもあるスピードスケートは0・01秒を争う迫力満点の競技だ。来月開幕の北京五輪では日本勢の複数メダル獲得が確実視される中、レースを見ていると「素朴な疑問」も湧いてくる。そこで1998年長野五輪女子500メートル銅メダルの岡崎朋美氏(50)を直撃。競技の隠された魅力に迫るべく、アスリートだけが知る〝競技あるある〟に加え、あの〝モジモジ君スーツ〟の秘密を公開した。


 ――コンマ0・01秒を競う世界。体内時計でタイムが分かる

 岡崎氏(以下岡崎) はい! 実際には周回ごとにバックストレートでアナウンスされるので耳に入りますが、自分の感覚でも分かります。滑っていて「しんどいな」とか「脚が前に出ていないな」って時は、思った分だけタイムが遅い。逆に「いいタイムだな」って思うとだいたい当たっています。スピードスケートって足で氷を押さえながら力を伝道させる。その動きの中、一瞬の判断で決まるので微妙なタイムも分かるんです。ちなみに採点競技のフィギュアと違って、タイムで白黒がハッキリ分かれるのが魅力ですね。

 ――競技中に人の目は気になるか

 岡崎 ゴールして頭のフードを外したときに「あっ前髪!」って気にすることはありますが、さすがに滑っているときは忘れていますね。長距離の選手はちょっとかわいそう。よだれが出ていることもあるので、そんな写真を使われたら苦情モノですよ(笑い)。私は現役時代にレーシングスーツ姿の画像をネットに載せられ「この太ももに締め付けられたい」とか。そっち系の被害も(笑い)。今の若い方は知らないと思いますが、とんねるずさん(石橋貴明、木梨憲武)が全身タイツで人文字をつくる「モジモジ君」ってブームになりましたよね。その〝モジモジ君〟のような全身スーツマニアがいるんですよ。ようやく今、JOCが問題視していますが、私の時も動いてほしかった(笑い)。

 ――なぜゴールするとすぐ〝モジモジ君〟のチャックを下ろすのか

 岡崎 あれ、結構きついんですよ。首元をギュッと締めてフードをかぶると、前かがみの状態で固定されてしまう。だから、ゴールして息が上がっていると苦しくて早く解放されたいんです。脱ぐのもひと苦労なので、レース前に必ずトイレを済ませます。ちなみに、あれだけピタッとしているから体形がよく分かります。お勧めは男子選手のボディーラインを見ること。背筋からお尻にかけて盛り上がっていて人によっては筋張った筋肉も見えます。迫力ある体が見られるのも〝モジモジ君〟の醍醐味ですね。

 ――スピードスケート選手の職業病は

 岡崎 交差点で信号を待っているとき、体の重心を左右に動かす! これは〝スピードスケートあるある〟かも。私はいまだにやっちゃいます。レースって片足滑走なので、左右の重心移動を繰り返しますよね。その癖がヒマなときに出ちゃうんです。さすがに足を回すと怪しまれるのでやりませんが、赤信号が長いとワンステップ入れちゃうことはある(笑い)。あと、周りに誰もいないと前かがみになってフォームチェックしたり。よくサラリーマンが駅でゴルフスイングとかしていますが、あんな感じですよ。もし街で重心移動をしている人を見つけたら、たぶんスピードスケーターでしょうね。


 ☆おかざき・ともみ 1971年9月7日生まれ。北海道・清里町出身。小3でスケートを始め、北海道釧路星園高卒業後に名門富士急に入社した。94年リレハンメル五輪から2010年バンクーバー五輪まで5大会連続出場。98年長野五輪の女子500メートルで日本女子短距離初のメダル(銅)を獲得し「朋美スマイル」で人気を博した。07年に結婚し、10年に第1子となる長女が誕生。出産後も現役を続け、14年ソチ五輪出場を目指すも落選。13年末に引退を表明した。163センチ。

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