来年2月の北京五輪を巡り、中国国内の人権問題を理由に各国が〝外交ボイコット〟を表明する中、日本も官僚らの政府関係者を派遣しない意向を示した。一方、東京五輪・パラリンピック組織員会の橋本聖子会長、日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長、日本パラリンピック委員会の森和之会長らは出席することが決定。これに関して、一部から「橋本会長は参議院議員だ」「現職議員だけどいいのか」と強い異論が出ている。

 昨年秋、橋本会長は女性蔑視問題で辞任した森喜朗前会長からトップの座を引き継いだ。その際に「五輪相」は降りたが、現在も参議院議員のまま。組織委は解散していないため「会長として出席」の見方があるが、組織委元幹部は「政治家として行くのか? 私人としてか」「どういう立場で行くのかハッキリさせるべきだ」と指摘する。

 松野博一官房長官は派遣見送りに関して「特定の名称を用いることは考えていない」と話し、日本の姿勢が「外交ボイコット」に当たるか否かの明言を回避。そのため現職議員の橋本会長は〝グレー〟な立場となっているようだ。

 五輪の申し子と言われる橋本会長は2030年札幌五輪招致にも積極的。そのスタンスを巡り、議論は続きそうだ。