カナダの元五輪代表選手が、中国の人権問題を理由にカナダ代表の五輪ボイコットを呼びかけた。

 2006年トリノ、10年バンクーバー五輪にスノーボードクロス代表として出場したドルー・ニールソン氏はカナダ「CBC」の取材に対し、北京五輪と国際オリンピック委員会(IOC)への嫌悪を吐露。「本当にうんざりしている。もうオリンピアンとよばれるのも嫌。IOCは五輪憲章の基本原則と倫理規定にある人権問題について、真剣に受け止めていると言っていますが、そうでしょうか」と批判し、カナダの選手団ボイコットが唯一の道徳的に正しい選択肢であると訴えた。過去の代表名簿から自分の名前を削除してもらうことまで検討しているという。

 北京五輪を巡っては、新疆ウイグル自治区での人権弾圧や、中国元副首相から性的強要を受けたと告発したテニス女子の彭帥の問題を巡り、人権団体から抗議が殺到。米国などが外交ボイコットを表明している。ニールソン氏は「五輪に反対しているわけではない」としながらも「五輪を運営している組織と、その国を守ることに反対している。試合を見るために、中国で起こっていることから目をそらすなんて、ただただあきれるばかりだ」と批判している。

 北京五輪が近づくにつれ、同様の声が大きくなりそうだ。