大相撲とレスリングの〝世界最強タッグ〟が結成されることになった。元横綱白鵬の間垣親方(36)が19日に行われたレスリングの全日本選手権(東京スポーツ新聞格技振興財団)に来賓として訪れ、決勝を観戦した。元五輪銀メダリストの父・ムンフバトさん(故人)が活躍した競技とあって、思い入れは人一倍。長年親交がある日本レスリング協会の富山英明会長(64)や元五輪金メダリストのレジェンド・吉田沙保里(39)と、互いの競技発展へ協力していくことを約束した。


 この日、間垣親方はスーツ姿で会場に姿を現すと、笑顔で来賓席に着席。「(コロナ禍で)なかなか来ることができなかったので、決勝を見ることを、とても楽しみにしています」と観戦が待ち切れない様子で語った。

 父・ムンフバトさんの存在は日本のレスリング界でも広く知られており、レスリング関係者とは家族ぐるみで親交がある。初来日の頃から交流している富山会長が「本当、来てもらうのは久しぶりだよね」と声をかけると「父が五輪に出ているので、私も五輪ファミリーの一人だと思っています」とレスリング愛を吐露。「指導者になりましたから、今日は日本のトップレベルの選手たちの技をしっかり見たいと思っています。若い弟子たちに伝えたいですね」と、技の研究にも意欲的な姿勢を見せた。

 相撲もレスリングも、技術とパワーが不可欠な格闘技。土俵もマットも同じ円形で、組み手(差し手)や投げ技など共通点は枚挙にいとまがない。それはモンゴル、日本ともにレスリング出身の力士が活躍していることでも証明されている。2024年パリ五輪を目指すレスリング側にとっても、大横綱の経験と技術、精神面は大きな学びになることは間違いない。

 富山会長は「一緒に練習をしたり、交流することで、大きな刺激になる。いろいろやっていきたいよね」と〝合同稽古〟のプランを披露。実際、間垣親方は過去にレスリング選手を指導したことがあるという。「7、8年前かな。早稲田大レスリング部の学生に稽古をつけたことがあるんです。いい体のグレコローマンの子がいてね。相撲に来ないかって言ったんですけどね。今はなかなか(合同稽古は)難しいですが、コロナの状況が終わったら、少しずついろんな機会を設けていきたいですね」と笑顔で応じた。

 レスリング女子のレジェンド・吉田も、間垣親方とのタッグに大賛成だ。かねて互いの強さを尊敬し合う仲。この日も親方と引退後に飲む酒のおいしさについて語った吉田は「別の競技と交流して、互いに切磋琢磨することはとてもいいこと。ひらめきが生まれますよね。親方とは以前からいい交流をさせていただいている。その時はもちろんお手伝いして盛り上げたい」と〝参戦〟を表明した。

 富山会長は手始めに「今度、お弟子さんたちを招待させてよ。ぜひ、じかに観戦してもらいたい」と、力士のレスリング観戦イベントを企画。さらなる発展へ〝世界最強タッグ〟の動向に注目だ。