来年2月の北京五輪で米国などが外交ボイコットを表明した問題で、欧州各国の対応は真っ二つでフランスとイタリアは〝親中派〟となりそうだ。

 米国のバイデン政権は中国における様々な人権問題から6日に北京五輪の外交ボイコットを発表。そして8日、オーストラリアのモリソン首相も米国に続いて閣僚や高官などの政府代表を派遣しない方針を発表した。

 米国に追随する動きが広がる中、欧州各国の対応に注目が集まっている。

 台湾メディア「風傳媒」は「中国と米国の間に挟まれた欧州諸国は特に難しい。EU(欧州連合)は中国の人権と民主主義の侵害を厳しく批判している一方で、多くの欧州諸国は北京(中国政府)と緊密な貿易関係にある」と指摘。欧州各国は経済面で中国依存が強く、中国政府に歯向かうような対応は表立って取れないというわけだ。

 なかでも「2024年に夏季五輪が開催されるフランス、26年に冬季五輪が開催されるイタリアの両国が決定を下すのは難しい」。フランスとイタリアはかねて中国寄りの姿勢だが、加えて直近で五輪開催を控えている。このタイミングで北京五輪をボイコットすれば中国が報復措置として両国の五輪で〝ボイコット返し〟に出る恐れがあり、米国には追随できないというわけだ。

 日本政府はまだ態度を明確にできていない中、世界各国も今回の問題の対応には苦慮しているようだ。