東京大会の〝二の舞い〟はご免だ。札幌市は29日、招致を目指す2030年冬季五輪・パラリンピックの大会概要案を公表した。

 大会期間は五輪が30年2月8日~同24日、パラリンピックが3月8日~同17日。競技施設に関しては、1972年大会時の会場だった大倉山ジャンプ台、真駒内の屋内競技場などが活用され、ボブスレーやスケルトンは98年長野五輪の会場を利用する。開催経費は19年の試算から100億~900億円ほど圧縮し、2800億~3000億円としている。

 今夏の東京大会では招致時から経費が膨大に膨らみ、世間の反感を買った。札幌市の秋元克広市長は「(市民からは)将来的に費用負担が加重にならないか? 施設の維持に困らないか?という不安の声があった」と説明しつつ「既存施設を使うことで経費を抑えている。漠然とした不安を払拭し、ご心配はなくせると思う」と話した。一方、大会運営費については国際オリンピック委員会(IOC)の負担金や五輪スポンサーからの収入などを活用し、「原則として税金を投入しない」(秋元市長)としている。

 東京大会は新型コロナウイルス禍の影響もあって開催直前まで「中止」を求める声があった。当初は札幌五輪招致に反対する意見が大半を占めていたが、秋元市長は「とりわけパラリンピックのアスリートの活躍が暗い世の中に明るい話題、元気を与えてくれた。そういう意味ではネガティブな状況からポジティブな意見が多くなってきたと感じている」と話した。