1億円蹴った村田諒太の“金銭感覚”

2012年09月09日 12時00分

 ロンドン五輪ボクシングミドル級金メダリストの村田諒太(26=東洋大職)は、なぜプロへの道を選ばなかったのか——。

 村田は8月26日の国体近畿ブロック予選後に事実上の引退を表明。関係者を驚かせた。日本ボクシング界では48年ぶりとなる金メダル獲得直後には、協栄ジムが契約金1億円で獲得を表明。甘いマスクの村田がプロになれば人気沸騰間違いなしと思われた。

 一方で「プロ転向しない方がいい」という意見が聞こえてきたのも事実だ。金メダリストがプロ転向した場合に期待されるのは、世界王者になることのみ。そのプレッシャーたるやハンパなものではない。「日本王者や東洋王者なら間違いなくなれる。その先の世界となると運もあるから、何とも言えない」と語るのはあるジムの会長。世界戦の勝敗だけではなく、挑戦すること自体も「運」に左右されるという。

 さらには「もし世界戦でぶざまな負け方をしたら、金メダルという偉業が台なし。世界王者になっても、恐らくいつかは負ける時が来るんだから…」(同会長)と指摘。たった一度の敗戦で、積み上げた功績を全て失うリスクも伴うわけだ。
 またアマは3分3ラウンドの短期決戦だが、プロの世界戦は12R。ヘッドギアもないため、ダメージは倍増する。頭を押し付けてボディーを打つ村田のスタイルは、プロでは反則となる可能性もある。世界王者を目指すには、大規模な“改造”が必要になるのだ。

 別のボクシング関係者は「1億円契約金を受け取ったとしても半分は税金で持っていかれる。大学職員という安定した職業があって、金メダル獲得で待遇も上がるはず。生涯賃金で考えたら、今の生活を続ける方が絶対に賢い」とも話した。フィーバーに浮かれなかった村田の判断は賢明だったといえそうだ。