〝介入〟の余地はないということか。国際オリンピック委員会(IOC)のジョン・コーツ副会長(76)の北京冬季五輪に関する「ある発言」が注目を集めている。

 大会開幕が4か月後に迫る中、開催国の中国ではかねて少数民族への弾圧など人権問題が指摘されてきた。中国政府はこうした行為を一貫して否定しているが、国際人権団体から報告書が出されるなど疑念が払しょくされたわけではない。五輪憲章には「国もしくは個人に対する差別は、いかなるかたちの差別であってもオリンピック・ムーブメントへの帰属とは相入れないもの」と記されており、開催国の姿勢が問われても仕方ないだろう。

 そんな中、豪メディア「ABCニュース」(電子版)によると、コーツ副会長は現地の報道陣に対して「IOCは非常に人権を重視している」と述べた一方で「IOCの使命は各国オリンピック委員会(NOC)内またはオリンピックの大会内に関して人権侵害がないことを保証することだ」と強調したという。

 先月、IOCはアフガニスタンの五輪代表選手など関係者約100人を人道ビザなどで国外退避させる支援を行ったことを公表した。これについてコーツ副会長は「アフガニスタンの五輪選手、関係者、競技連盟関係者を保護することはIOCの仕事だ」と主張。

 続けて「それらは私たちの権限の範囲内。中国の人道的な状況は私たちの権限の範囲内にない」と言いきった。

 なお、コーツ副会長は現時点でボイコットを表明している国、地域はないと明らかにした。