【スウェーデン・ファルン22日(日本時間23日)発】ノルディックスキー世界選手権第5日、ジャンプの混合団体(HS100メートル、K点90メートル)が行われ、前回王者の日本(高梨沙羅、葛西紀明、伊藤有希、竹内択)は合計769・5点で銅メダル。2連覇はならなかった。高梨が個人4位のうっぷんを晴らす大ジャンプを連発したものの、総合力で惜敗。優勝をドイツにさらわれた。

 悔しさがこみ上げた。20日の個人では初の銀メダルを獲得した伊藤(20=土屋ホーム)は喜びから一転、「他のメンバーのおかげで取れたメダル。私のせいでメダルの色が変わってしまったのがすごく残念」。葛西(42=同)も「攻めのジャンプができなかった。(メダルを)取れてよかったが、金メダルを取れなくて悔しい気持ちのほうが強い」と肩を落とした。120%の力を出し切れなかった結果に重い空気が漂った。

 V候補の筆頭だった。前回優勝のメンバーから伊東大貴(29=雪印メグミルク)に代え、絶好調の“レジェンド”葛西を起用。ノーマルヒル個人5位で安定感抜群の竹内(27=北野建設)、そしてW杯2年連続総合女王の高梨(18=クラレ)、伊藤と隙のない最強布陣で連覇を目指した。

 出だしはよかった。1回目、トップバッターの高梨が女王の貫禄を見せつける。向かい風に乗って、この組の最長不倒となる96.5メートルの大ジャンプ。95.5メートルを飛んだオーストリアのダニエラ・イラシュコ(31)に飛型点の差で首位を奪われたものの、持ち味を発揮した高梨は笑顔でガッツポーズを決めた。

 しかし、葛西からバトンを受けた3番手の伊藤が88.5メートルとK点に届かない。逆転を狙った2回目、高梨が93メートルと奮闘。上位にプレッシャーをかけるが、続く葛西が風に恵まれず、88.5メートルに終わる。直前に飛んだ米国選手が転倒し、試合が中断する不運も重なり、追撃ムードはしぼんだ。

 この時点で首位ドイツとは10メートル以上の大差をつけられる。伊藤が90.5メートル、竹内が93.5メートルとK点越えを揃えたものの、さらに突き放されてジ・エンド。

 2大会連続金メダルの夢は消え、「変えていかないといけないところがたくさんある」(高梨)、「(2連覇が)できるメンバーだったし、できなかったのは悔しい。最低限のメダルは取れたのでよかった」(竹内)と唇をかみしめた。