東京五輪〝ペットボトル飲み残し〟巡り論争勃発 専門家のジャッジは?

2021年09月17日 05時15分

為末大氏
為末大氏

 東京五輪の〝ゴミ問題〟が、今になって論争を巻き起こしている。一部メディアで五輪会場に残されたペットボトル飲料の飲み残しの実態が報じられると、陸上男子400メートルハードル世界選手権銅メダルの為末大氏(43)は「禁止薬物混入の予防策」と主張。「なるほど!」「いや、マナーが悪い」などと意見が真っ二つに割れている。そこで本紙は日本アンチ・ドーピング機構(JADA)を直撃。いったい、どちらが正しいのか――。

 事の発端は12日付の毎日新聞の記事だ。「清掃員 五輪に失望」との見出しで、競技会場で勤務したアルバイト清掃員の証言を掲載。「一口だけ飲んで捨てられるペットボトル」が大量にあったことや、処理にあたる清掃員の心情などについて報じている。

 これに即座に反応したのが為末氏だった。鋭い洞察力に定評がある同氏は自身のツイッターで記事を引用。「選手がペットボトルを残したまま捨てるのは、ペットボトルに誰かにドーピング薬を入れられ出場停止になることを恐れ一度目を離したら常に蓋が開いていないものを飲むように教えられている為です」と主張した。

 さらに2017年のカヌー・スプリント日本選手権で男子選手がライバルから飲み物に禁止薬物を混入される被害を受けた際の記事をアップし「このような事例があるため、選手は常に身体に入れるものに対し気を遣っています」(原文ママ)とつづった。

 ネット上では「初めて知った」「なるほど~」などと納得の声が上がる一方で「そういう問題じゃなく、中身を流してからゴミ箱に捨てるのが常識」「ゴミの分別しないマナーが悪い」「そもそも自分の飲み物から目を離さなければいい」との反論も相次いだ。もちろん、為末氏は飲み残したまま捨てる行為を推奨しているわけではないが、議論は思わぬ方向に進んでいる。

 そこで、本紙はJADAの浅川伸事務局長を直撃。為末氏が主張したような指導をしているのか?と問うと「為末さんがおっしゃっている自己防衛対応は総論的には間違っていません」と話した上で、次のような見解を示した。

「私たちが指導しているのは、摂取する前にしっかりと未開封だと確認した上で飲むこと。それはガイドブックにも書いてあります。しかし、いったん封を開けて飲んだ後〝視線を外しちゃったから新しいものを飲みなさい〟とは決して教えていません。中身が入った状態で捨てていい? そういう教育はしていません」

 飲み残しを巡って賛否が巻き起こっていることについては「今回は恐らくアンチドーピングの観点ではなく、飲みかけで捨てること、マナーの問題だと思うので、ちょっと我々の守備範囲を超えていますね」と困惑の色を浮かべた。

 一方、東京都環境局は「一般論として…」と前置きした上で「ペットボトルは中身を捨て、リサイクルするためにキャップとラベルを外して分別するよう勧めています。今はコロナの感染の危険性もあるので、できるだけ水で洗い流してから捨てていただきたい」と説明している。

 飲み物が入った状態で捨てれば清掃員の手間がかかるのはもちろん、コロナの感染防止の観点からも好ましくないことは確か。いずれにせよ、論争を通じてドーピング対策と後始末の問題が浮き彫りになった格好だ。

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