あと一歩届かなかった。来年の北京五輪へ向けたカーリング女子日本代表決定戦(12日、北海道・稚内市みどりスポーツパーク)、第5試合が行われ、日本選手権覇者の北海道銀行は、2018年平昌五輪銅メダルのロコ・ソラーレ(LS)に6―8で敗れ、北京五輪出場の可能性が消滅した。

 スキップ・吉村紗也香(29)の目からは、涙がこぼれ落ちた。8年前は札幌国際大、4年前は北海道銀行の一員として五輪の舞台を目指したが、夢切符を手に入れることはできなかった。今大会は「自分たちが準備してきたことを氷上で表現したい」との言葉通り、随所で正確無比なショットを披露。第5試合の第10エンド(E)の最終投でも、ハウス内にナンバーワン、ツーを作り、LSにプレッシャーをかけた。

 最後は幼少期からしのぎを削ってきたLSのスキップ・藤沢五月のショットでナンバーワンを奪われたが「ここで負けたら終わりという中で、相手ペースになりながらもチャンスを作り、1点差まで追いつくことができた。自分たちのできることは最後までできた」と胸を張った。

 試合後には、LSの本橋麻里代表とハグをする場面も。「ライバルがいなかったら、私たちもここまで強くなれなかった」と言葉をかけられたといい「私たちもロコさんがいたから強くなれた。最後まで楽しくカーリングはできた」と言葉を振り絞った。

 最後まで懸命に戦い抜いた吉村。この思いはLSのメンバーたちが引き継ぐ。