新型コロナウイルス禍により、1年延期を経た東京五輪の開会式が23日に国立競技場で行われ、17日間の大会が幕を開けた。選手団入場行進後のセレモニーには、王貞治氏(81=ソフトバンク球団会長)、長嶋茂雄氏(85=巨人軍終身名誉監督)、松井秀喜氏(47=ヤンキースGM特別アドバイザー)といった日本が誇る国民栄誉賞の3氏が聖火ランナーとして登場。深夜の日本列島が大いに沸いた。

 王会長は前回1964年に開催された東京五輪も、長嶋氏とともに生観戦をした。当時は秋開催。その年のシーズンで55本塁打を放って日本中を沸かせた王会長も、世界中のアスリートが一堂に会するスポーツの祭典に大興奮したそうだ。特に男子1万メートルで優勝したビリー・ミルズ(米国)の走りに感動を覚えたという。

 何より大会自体が日本の高度経済成長の礎となった。アジア初の五輪開催を経て、日本は名実ともに先進国の仲間入りを果たした。コロナ禍で1年延期となる中で、無事な開催に向けて「前のオリンピックの時もあれから日本はすごく飛躍した。今回のオリンピックでも、その後の日本は大きく羽ばたくと思う」と熱く語っていた。

 現在、世間が暗いムードに包まれている中で、紆余曲折ありながらも五輪は開催を迎えることができた。「スポーツが大きな元気と勇気を与えられるんじゃないか」。こう期待をしてきた王会長は、今大会の成功を心より祈っている。