2018年の韓国・平昌冬季五輪のそり競技の会場が、日本の長野を含めた国外に移る可能性が出ていることについて、国際競技団体から協力的な姿勢が示された。韓国側からは「それなら開催返上する」と強気の声も上がっているが、財政難などから実際には日本に助け舟を出してほしそうで、韓国メディアには“共催”という論調もある。この共催話を日本が受けたら、専門家によると、後々トンデモナイことが待っているという。

 各国オリンピック委員会連合(ANOC)のアハマド会長が8日、「韓国と日本に協調の機運が出てくれば、あらゆる支援を惜しまない」と条件付きで、ボブスレーやリュージュなどのそり競技の日本分催に前向きな見解を示した。

 一方、東京都の舛添要一知事は9日の記者会見で、この件を念頭に「関係改善のためには有効かもしれないが、日本と韓国は海を隔てている。条件が整わない限り、海外の都市と共催するのは難しい」とコメント。「根幹は財政負担がないような五輪にしてくださいということだ。長野でボブスレーをやるとして、誰が金を払うのか」と課題も挙げた。

 財政難から準備の遅れが懸念される平昌五輪。IOC関係者は「まだ協議している段階だが、日本に協力を求める可能性も出ている」と述べており、話は現実味も帯びてきた。

 これに対し、韓国の聯合ニュースによると平昌を抱える江原道の知事は8日、「競技場は着工しており(開催地変更は)あり得ない」。平昌郡の議員も「(日本開催案が)進められるなら開催返上はもちろん、政府と闘争する」などと強く反発した。

 逆に分催を容認する報道もあり、その条件として、韓国メディアは「そり競技を日本で行う代わりに、東京五輪の一部競技を韓国で行う」との案を伝えている。「日本側は東京五輪の分散開催に触れていない」と不満感を示す報道もみられる。

 韓国はなぜ、むちゃな五輪開催に手を挙げたのか。韓国事情に詳しい文筆人の但馬オサム氏はこう指摘する。

「韓国は権威主義の国です。“オリンピック開催国である”というのも、彼らにとっての一つの権威となります。それから日本への対抗意識です」

 日本は1964年の東京五輪を始め、札幌と長野で冬季五輪が行われ、2020年の東京五輪で夏冬合わせて4度の五輪を開催することになる。

「韓国はソウル大会の一度だけ。今度の平昌は韓国にとって初の冬季五輪となるわけです。だいたい、五輪開催という権威を求めるばかりに、何の計画性もなしに開催地に立候補したのがすべての始まりです。平昌は雪が少ない上に、交通の便が悪く、五輪閉会後の競技場の活用に関しても採算点が見えない状況といわれています」(同)

 誘致レセプションで平昌側は、仁川空港―平昌間を結ぶKTX(韓国新幹線)を建設することを盛んに宣伝したが、その建設費に10兆ウオン(約1兆円)も掛かることが分かった上、五輪後の利用客も望めないとあって、開催決定後に計画中止を宣言するお粗末ぶりだ。

「とりあえず誘致し、あとはケンチャナヨ(どうにかなる)というのは、韓国のいつものパターンです。霊岩(ヨンアム)に莫大な建設費を投入してサーキットを作り、F1を開催したのはいいものの、観客はガラガラ。おまけに宿泊設備まで予算が回らず、世界の名だたるレーサーたちをラブホテルに泊めた国ですからね」(但馬氏)

 そうなると、分散開催は日本にまったくメリットはないのも当然の流れだろう。

「もちろん韓国は東京五輪も東京・ソウルの共同開催にすべきだと言いだします。そればかりか、『われわれの単独開催だったのを日本の横やりで、一部競技の開催を奪われた』などと、後々にケチをつけられるのがオチです」(同)

 確かにそのようなシナリオというか、イチャモンは容易に想像できる。韓国は自分たちが手を挙げて招致したのだから、きちんと単独で開催すべきなのだ。