卑劣な行為は絶対に許さない! 日本オリンピック委員会(JOC)は5日、都内でアスリートへの写真・動画による性的ハラスメント防止に向けて各スポーツ統括団体とともに警視庁と情報交換などを行った。

 会合後、取材に応じたJOCの山下泰裕会長(64)は「若き女性アスリートを中心に写真・動画の悪用、性的ハラスメント、ずっと選手たちがこれに悩まされてきた。関係団体が一致団結して取り組んで対応しているが、できることが限られている。警視庁から協力していだけることになり、情報を1000通、お渡しした。今後も協力いただき、卑劣な振る舞いがなくなるようにしていきたい」と語気を強めた。

 会合に出席した2008年北京五輪競泳女子100メートル背泳ぎ代表の伊藤華英氏(36)は女性アスリートの立場から「アスリートの勇気あるひと言が、しっかりとJOCに届いて警視庁の皆さんと協力するになった。うれしく思う。今まではアスリートが一人で悩んで泣き寝入りして、しょうがないという気持ちで競技をやっていたが、この問題は大きなこと。写真・動画を撮られるためにやっているわけではないことが少しでも示せたと思う」と今回の意義を強調した。

 すでに警視庁は取り締まりを強化している。5月11日にはテレビ番組の画像をアダルトサイトに無断転載した疑いで自称ウェブデザイナーの男を逮捕したと発表。JOCからの情報提供を受け、捜査して立件に踏み切った全国初めてのケースだった。この日もJOCと警視庁は連携を密にしていくことを改めて確認しており、警視庁の小林義明生活安全部長は「今後も悪質なことに対しては事件検挙を図っていきたい」と語った。