東京五輪参加選手の新型コロナウイルス接種拒否が、思わぬ波紋を広げている。

 米紙「カンザスシティ・スター」は、体操女子米国代表の補欠となった17歳のリアン・ウォンが、ワクチン接種を受けていないことを公表後、ひどい攻撃を受けたことを報道した。

 未成年のウォンは科学者である両親の考えで、ワクチンを接種しないことを選択。すると「チーム全体を危険にさらしている」「チームと一緒に東京に行くべきではない」とネット上で批判を受けたという。ウォンの母親は「彼女は不当に扱われていると思う。IOCも米国オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)もワクチン接種を義務付けていない。ワクチンを打つかどうかは私的な問題だ」と話している。

 米体操女子では、負傷者やコロナ陽性者が万が一出た場合を考え、通常の倍となる4人補欠選手を選んでいる。同紙は、「補欠選手もシモーネ・バイルスら代表選手も同じ行動を取るため、コロナから身を守るワクチン接種を補欠接種にも望むことは理にかなっている」と指摘。一方で「開催国にもかかわらず、ワクチン接種率が驚くほど低い日本で行われるのに、IOCはワクチン接種が義務ではない」とルールの壁に言及した。

 ウォン以外にも米国で一部の選手はワクチン接種をしないと想定されている。〝穴だらけ〟と高名な科学者から指摘されまくりの東京五輪コロナ対策だけに、ワクチン接種、非接種選手を巡る複雑な問題は続きそうだ。