フリーアナ・久下真以子 人生を変えた車いすラグビー主将・池透暢の「言葉」と「真っすぐな瞳」

2021年07月01日 14時00分

池の言葉を胸にパラスポーツの取材を続ける久下アナ
池の言葉を胸にパラスポーツの取材を続ける久下アナ

【Restart パラヒーローズ その壁を乗り越えろ(34)】「日本一パラを語れる女子アナ」をご存じだろうか。フリーアナウンサーの久下真以子(35)はテレビの枠を超えて、パラスポーツの世界でも活躍中だ。なぜ、女子アナがパラスポーツに興味を抱いたのか、その裏には取材を通じて感じたある思いがあった。

「初めて本当に夢中になれるものを見つけた」。友人の父親がアナウンサーとして活躍していたことがきっかけで、大学2年時に志すようになった久下だが「本当に厳しかった…」と就職活動は大苦戦。それでも「諦めたら後悔する」と粘り強く努力を続け、大学4年の2月に四国放送のアナウンサーに内定。そして、契約満了後に入局したNHK高知放送局で運命の出会いが待っていた。

 番組の企画で、車いすラグビー日本代表の主将・池透暢(40=日興アセットマネジメント)を取材。交通事故で左足を切断し、左手にはまひを患いながらも、当時は車いすバスケットボールで世界を目指していた池に「生死をさまよった中でも、なぜ世界を目指すことができるのか」と質問。すると、池は「大きな壁を乗り越えたように見えるが、一つずつ目の前のことをクリアしていったら、自然と大きな目標になっただけ」ときっぱり。障がいを言い訳にしない真っすぐな瞳に「うまくいかないときは環境のせいにしたり、大きな目標を掲げても無理だと思いがちになるからこそ、自分たちにも当てはまると思った」と衝撃を受けた。

 その後は、NHK札幌放送局を経て、フリーアナウンサーに転身。多くのスポーツ取材に携わってきたが、池の言葉を忘れられず「日常的にパラの取材がしたい」と一念発起。2018年からパラスポーツの取材・執筆活動を本格的に始めた。

 人生を変えたあの日から約10年が経過。久下にとって、今も池の言葉が“原動力”となっている。「選手の言葉が人の人生に影響を及ぼすなんてすごい。スポーツの結果や選手のプロフィルは他媒体やファンの方が詳しい。だけど、池さんのような言葉を引き出して自分なりの視点で、おこがましいことは言わないが『この選手の言葉好きだな』とかでもいい。何か少しでも心を動かせる言葉を届けられたら」。東京大会までは残り約2か月。池の言葉を胸に、パラアスリートのドラマを発信し続ける。

 ☆くげ・まいこ 1985年8月31日生まれ。大阪府出身。四国放送、NHK高知放送局、NHK札幌放送局を経て、2015年からセント・フォースに所属。18年からは知人の紹介もあり、パラスポーツ専門メディア「パラフォト」でパラスポーツの取材・執筆活動を本格的にスタート。18年アジアパラ競技大会には、自費でインドネシアまで足を運んだ。現在は多くのパラアスリートと交流。不定期で通称「久下会」を開催している。将来の夢はパラに関する本を出版すること。162センチ。

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