東京五輪開幕まで1か月を切る中、新型コロナウイルスが思わぬ悲劇を招いている。今月16日、ボクシングの男子フライ級代表の田中亮明(27)が自身のツイッターで「家族や知り合いがみんなチケット買ってくれてたのに、違う階級のチケットになってしまってやばいですけど」と〝被害〟を訴えた。ちなみに、田中の弟は元3階級制覇王者の恒成(26)。

 チケット発売当初は男子フライ級1回戦の実施日は7月28日だったが、先月になって同26日に変更されたという。田中の試合を楽しみにチケットを購入した家族は突然の日程変更に落胆。日本ボクシング連盟が関係者向けのチケットを手配したため「家族の人たちの分は何とかなりそうです」(田中)と最悪の事態は免れたが「知り合いやファンの方はこのままだと見に来れません」という。

 いったい、なぜこんなことになったのか。大会組織委員会の担当者によると「世界最終予選(6月)が中止になり、ランキングによって出場枠が分配されることになりました。種目ごとの参加枠が変わったことで、セッション(チケット販売の単位)に影響が出てしまいました」と説明。運営面を考慮して試合数を調整する中で、男子フライ級が日程変更の憂き目にあってしまったのだ。

 つまり、コロナ禍による最終予選の消滅がトラブルの元凶。組織委担当者は「見に来られなくなった方には大変申し訳ない」と釈明した。東京五輪のチケットを巡っては、観客上限数が「収容定員の50%以内、最大1万人」となり、再抽選の実施が決定。大量のチケットが無効となり保有者からは不満の声も上がっていた。今回ばかりは、コロナがすべて悪いということか…。