もう耐えられない。愛知県医療介護福祉労働組合連合会(愛知県医労連)と愛知県労働組合総連合(愛労連)は、19日の17時からツイッター上と金山駅(名古屋市中区)で「東京五輪の中止を求める」デモを行う。本紙は両担当者を直撃し、真意を聞いた。

 東京五輪の開幕まで1か月あまりとなったが、依然として新型コロナウイルスが終息するメドは立っていない。しかし、政府や大会組織委員会側は〝開催ありき〟かつ〝有観客ありき〟で話を進めている。

 愛知県医労連の担当者は「五輪はできればやらないでほしいし、観客を入れるなんてとんでもない。現場は疲弊していて、人手も足りない。退職者も出ているし、看護師の夜勤回数も増えている。さらに、ワクチン接種の業務も加わって疲弊している中で、感染が増えるであろう有観客はやめてほしい」と声を大にする。

 だからこそ、愛知県医労連側は動いた。コロナ禍のため、従来のデモは敢行できないが「看護の日(5月12日)には、愛知県庁前でスタンディングっていう形でデモを行った。声を出して歩くのは難しいので、立って静かに、横断幕を持ちながらアピールしていた。また、『看護師を守ろう』っていう署名をオンライン上で集めている」。工夫を重ねながら、医療現場の実態と問題点を積極的に発信している。

 ただ、いまだに〝五輪ファースト〟が顕著に表れているのが現状だ。そこで、今回のデモは愛労連との合同で企画。愛労連の担当者は「愛労連としても東京五輪は、中止・延期すべきだという態度を明確にしている。そういう中で、愛知県医労連から一緒に訴えましょうと声を掛けられた」と一連の経緯を明かした。

 その上で〝強行開催〟の弊害を指摘。「国民の命や暮らしを守るということを最優先にすべき。また感染が広がれば、犠牲になるのは国民の命や暮らし。(7月以降に)緊急事態宣言が再発令されたら、事業者の経営を圧迫することになる。国民の命、暮らしや財産に責任を持つという政府の役割から言えばあまりにもおかしい。少なくとも延期や中止という判断が必要なのではないか」と語気を強めた。

 残された時間はわずか。今後はデモの頻度を上げていく可能性も示唆しているが、労働者の声は果たしてどこまで届くのだろうか。