聖火リレーが始まって約2か月半が経過したが、場当たり的な対応に現場から不満の声が上がっている。

 3月25日に福島をスタートした聖火リレーは、11日時点で青森に到着。移動日を挟み、13日から北海道に場所を移す。しかし、北海道では公道での走行がすべて中止になり、点火セレモニーのみ行う。さらに神奈川県の黒岩祐治知事(66)は11日の会見で28~30日の聖火リレーにおいて「県内の新型コロナウイルス感染状況は厳しい状況が続いている」と公道での走行を断念すると発表した。

 ただ8~9日の秋田では、ランナーが公道を走行し、16~18日に聖火リレーが開催される岩手も同様の措置だ。自治体によって異なる対応に聖火リレーの運営に携わる関係者は「アウトドアや満員電車とは異なるので基本的には沿道でできたら」と話す一方で「沿道の人数がどれくらいまでなら大丈夫なのかという明確な基準がない。自分が責任者だったら(基準を)出す必要があると思う」と語気を強める。

 7月9日から東京五輪の開幕日である同23日にかけては、東京都内で聖火リレーが実施されるが、都の新規感染者数は決して安心できる水準ではない。小池百合子都知事(68)は11日の会見で聖火リレーについて「コロナの感染状況を踏まえながら判断をしていく」と語るのみだが、同関係者は「そのときの状況に照らし合わせながら対応するしかない。年末年始並みの感染者数になったらどうするのか」と不安を口にした。
 
 そもそもコロナ禍での聖火リレーは密になるなどのリスクを指摘されていたが、何の基準もないとは…。このまま〝綱渡り状態〟は続くのだろうか。