【KJ松井のCatch&Shoot(68)】大舞台で見せた“進化”とは? 米プロバスケットボールNBAのプレーオフ1回戦でワシントン・ウィザーズはホームでフィラデルフィア・セブンティーシクサーズとの第4戦(31日=日本時間1日)に勝ち、対戦成績を1勝3敗とした。負ければ敗退の状況で八村塁(23)は20得点の活躍でチームに貢献。本紙バスケット評論のBリーグ・京都ハンナリーズ松井啓十郎(35)は八村が3本決めたスリーポイントシュートについて「フォームが変わった」と指摘した。

 ウィザーズにとっては、負ければスイープ(4戦全敗)でシーズンが終わってしまう状況の試合で勝てたことで、見に来たファンの人たちも喜んだでしょうし、大きな意味を持つ勝利でした。

 その試合で八村選手は20得点しました。スリーポイントシュートは6本打って3本成功。プレーオフの4試合通算でも12本中8本成功と高い確率で決めることができているのは、シュートフォームを改善したためだと思っています。

 八村選手の得意なシュートは、ドリブルしてからペイントの外ぐらいの距離から打つジャンプシュートです。文字通りジャンプして、最高到達点で打つものですが、以前はスリーポイントシュートも同じようなフォームで打っていました。それがシーズン終盤ぐらいから、跳びながら打つ「ジャンピングシュート」に変わっています。

 これはステフィン・カリー(33=ウォリアーズ)やトレイ・ヤング(22=ホークス)といった、比較的小柄な選手もよくやります。目一杯ジャンプするのではなく、跳びながら打つものです。足の筋力をそれほど使わずに、効率的にエネルギーを使うことで、試合の後半や終盤に疲れてきた状況でも高い確率で決めることができているのだと思います。
 高い確率で決め続けられれば、相手も楽に打たせるわけにはいかないので、ディフェンスがチェックに来るようになります。そうなると、得意のドリブルしてからのシュートに持ち込むチャンスも増えてきます。

 第5戦(2日=日本時間3日)はフィラデルフィアで行われますが、ホームで勝負を決めにくる地区1位のチームと対戦できるのは貴重な経験。これに勝つことができれば、第6戦(4日=同5日)は再びホームのお客さんの前でプレーできるので、頑張ってほしいですね。

 ☆まつい・けいじゅうろう 1985年10月16日生まれ。東京都出身。バルセロナ五輪の「ドリームチーム」を見た父親の勧めで小学1年からバスケットを始め、6年時にはイベントでマイケル・ジョーダンと1対1で対戦した。高校から米国に渡り、コロンビア大学では日本人男子で初めてNCAA1部でプレー。卒業後は帰国し、今季から京都に加入。ニックネームの「KJ」は、米国で「けいじゅうろう」を覚えてもらいにくいために使い始めた。188センチ、83キロ。