東京五輪が〝開催ありき〟で進んでいる理由を、香港紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」が解説している。

 新型コロナウイルス禍が終息するメドは立っておらず、開催を危惧する声が相次ぐ中でも、開催一辺倒の理由について、同紙は「五輪を中止したときの財政的および政治的コストが単純に高すぎる」と報じた。

 その上で「菅義偉首相(72)の陣営は、五輪に巨額の政治的資本と財政的投資を行ってきたため、五輪を開催すると強く決意している」と背景を伝え「(中止時に)日本政府と東京都がどの程度、財政的責任を負うかは定かではないが、多額のお金を無駄に使ってしまったことになる」とつづった。

 また、同紙は政治的観点からも分析。「菅首相はコロナ禍の中で五輪を成功させ(国民から)政治的な後押しを受けることを期待している。菅総理は、9月に行われる自民党総裁選の前に、8月に衆議院選挙を行うことを決断するかもしれない」と予想した。

 ただ、最悪の事態に発展する可能性もあるといい「五輪が圧倒的な成功を収めれば、首相はヒーローになれる。平凡な大会であれば、五輪に反対する有権者は、強行した菅首相を批判するだろう。菅首相が日本人の窮状を軽視していたとの認識になるかもしれない」と懸念を示した。

 数々の思惑が交差する東京五輪・パラリンピック。果たして無事に終えることができるのだろうか。