東京五輪中止のオンライン署名を展開する弁護士の宇都宮健児氏(74)は21日、東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長(56)に宛てた「中止要望書」を提出した。

 午前11時、組織委が入る晴海トリトンに姿を見せた宇都宮氏。要望書の提出は非公開で行われ、その後に取材に応じた。東京大会を取り巻く現状について宇都宮氏は「医療がひっ迫し、入院したくてもできなくて在宅のまま亡くなる人がいる。五輪より命を助けて、大切にしてもらいたい」と訴えた。

 東京五輪中止を求めるオンライン署名は5日正午にスタート。宇都宮氏は「開始直後から事務所の電話は鳴りっぱなし」と明かし、ネットが不慣れな高齢者からも署名を希望する声が多数あったという。また、集まった約37万6000筆の中には海外からの署名も約1割含まれており、ドイツが約1万筆、米国が約3000筆、オーストラリアが約1360筆となっている。今後の展望については「署名は開催中止になるまでやる予定。適宜、区切りのいいところで2回目、3回目との要請行動をしようと思っている」と話した。

 また、この日の午前には菅義偉首相(72)、丸川珠代五輪相(50)の両名に宛てた「中止要望書」を内閣府(東京・千代田区)へ提出。すでに国際オリンピック委員会(IOC)、東京都にも署名の中間報告と要望書を提出しているが、宇都宮氏サイドに直接の返答はないという。