日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長(63)が31日、都内で2020年度最後の定例会見を行い、ジェンダーレスへの対応を改めて強調した。

 この1年を振り返る中で、2月には東京五輪組織委員会の森喜朗前会長(83)の女性蔑視発言をきっかけに、国内のジェンダー意識の希薄さを露呈。山下会長は「JOCとして改めて何をすべきか進めている。今回の件で日本スポーツ界、日本社会全体の姿勢に世界中から注目が集まっている。姿勢を明確に行動し、社会全体が変わっていく必要がある。JOC理事会で検証し、どのようなものを提供できるのか、いつ、誰が情報発信するのか。今後、関係機関と連携を密にしながら進めたい」と改めて強調した。

 女性アスリートなどを悩ませる盗撮問題に対し、昨年11月にスポーツ関係団体と共同声明を発出したことにも触れ「盗撮自体は以前から問題となっており、SNSの発達で対応が難しくなったこともあり、JOC単独でなくスポーツ界全体で取り組んだ。根本的な解決には時間がかかるが、できる取り組みから行いたい」。五輪でも競技会場で防止ルールを取り入れることとなったことに一定の成果をにじませ、ジェンダー差別の撲滅を目指す姿勢を鮮明にした。

 また空手の東京五輪女子組手61キロ超級代表の植草歩(28=JAL)が、全日本空手道連盟(全空連)の香川政夫強化委員長(65)からパワハラを受けたと訴えている問題には「物事は両者の意見を聞いてからでないと(分からない)。全空連の方でしっかり対応することを信じている」と話すにとどめた。