ポスト森喜朗巡り「密室選考」「不可解ルール」で内外から懐疑論が噴出

2021年02月17日 05時15分

検討委のJOC山下会長(左)、スポーツ庁・室伏長官も会長候補になれるという

「ポスト森」を巡って大混乱だ。東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)が女性蔑視発言で辞任を表明したことを受けて、後任候補を選ぶ「候補者検討委員会」の初会合が16日に都内で開かれた。新会長に求められる資質の5項目が決まったが、議論の過程は森氏が川淵三郎氏(84)を後継指名し、世間から猛批判を浴びた「密室バトンタッチ」そのもの。検討委メンバーも後任候補になり得るとの〝不可解なルール〟も存在し、内外から懐疑論が噴出している。

 組織委の御手洗冨士夫名誉会長(85)を座長とする検討委は日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長(63)、スポーツ庁の室伏広治長官(46)、東京都の多羅尾光睦副理事(63)、柔道金メダルの谷本歩実氏(39)、元体操選手の田中理恵氏(33)ら男女4人ずつ、8人のメンバーで構成。この日の初会合では新会長に求められる資質が議論された。

 選考基準として「五輪・パラ、スポーツに対する深い造詣」「国際的な活動の経験、国際的な知名度や国際感覚」「組織運営能力や多様な関係者と調和を図る調整力」「男女平等、共生社会など五輪憲章や東京大会の理念を実現し、それを将来にレガシーとしてつなげていくことができる人」「東京大会のこれまでの経緯や準備状況について理解していること」の5項目が挙げられた。

 早ければ今週中に候補者を絞り込み、理事会の決議を経て新会長が決定する。しかし、今回の検討委による候補者の選考方法も世間の理解を得られるとは言い難い。組織委は委員名を非公表とし、会議の詳細も場所も非公開と秘密だらけ。これでは森会長が元日本サッカー協会会長の川淵氏を「密室」で後継指名し、批判を浴びて撤回へと追い込まれた構図と変わらない。人数が2人から8人に増えただけだ。

 スポーツ界でも不信感が広がっている。全日本空手道連盟の笹川堯会長(85)は緊急会見を開き、組織委と検討委に提案書を出したことを明かした上で「立候補制を導入し、公開討論をしたらどうか」と選考過程のオープン化を提唱。提案書の送付を公表した理由について「握り潰されては困るから」とまで言い切った。さらに、後々に問題視されそうな〝火種〟も存在する。

 それが「検討委メンバーも新会長の候補になれる」という不可解なルールだ。組織委の武藤敏郎事務総長(77)は「そういうことになったら、恐らく御手洗さんがガバナンス上の問題がないように対処されるだろう」と話したが、さっそく関係者の間では「こんな不透明なやり方はない」「どう考えても公正と言えない」との批判の声が相次いでいる。

 実際、会社法に詳しい法曹関係者は「普通では考えられない。例えば取締役による選定委員会で社長を選ぶ場合、利害関係のあるメンバーが候補に入らないのは当たり前」と問題点を指摘する。ある組織委幹部も「検討委の山下氏や室伏氏はIOCの意向をくみ取れる立場。お互いに忖度できる人たちが会長候補になれるのは、おかしい」と憤り、〝忖度選考〟になることを危惧した。

 現時点で次期会長の候補は検討委の山下会長や室伏長官のほか、参議院議員の丸川珠代氏(50)、〝大穴有力候補〟と報じられた組織委の小谷実可子スポーツディレクター(54)ら。一方で、当初の大本命と目されていた橋本聖子五輪相(56)は就任に難色を示しているという。

 果たして、検討委は最終的にどんな結論を出すのか。いずれにせよ、五輪本番まで時間がないとはいえ、このような決め方では誰が候補となっても波紋が広がることは間違いなそうだ。

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