五輪柔道女子銀メダリスト・溝口紀子氏 組織委の変革を望む「ガバナンスでも金メダルを」

2021年02月13日 21時06分

森喜朗会長

 柔道女子バルセロナ五輪銀メダリストの溝口紀子氏(49)が、東京五輪・パラリンピック組織委員会の変革を熱望している。

 組織委の森喜朗会長(83)は、女性蔑視発言の責任を取って12日の評議員会・理事会合同懇談会で正式に辞任を表明。後任は、御手洗冨士夫名誉会長(85=キヤノン会長)を委員長とする「候補者検討委員会」で検討されることになっている。組織委が森発言のイメージダウンから厳しい再スタートを切ろうしている中、かねて森発言を厳しく批判していた溝口氏は今回の騒動を糧にしてほしいと望む。

「お世話になった森会長への恩返しは、沈黙することではなく、是々非々と議論できる自浄能力のある組織として活動していくことではないでしょうか。組織委員会は、エリを正しガバナンスでも金メダルを取れるよう、具体的な理事や評議員の女性比率40%以上の実現を目指し多様性を受け入れて、風通しの良い組織になってほしいです」

 同氏は森氏の女性蔑視発言の背景にある考え方をかつての柔道界の実情と重ねてこう指摘した。

「女子柔道は1992年から五輪として公式種目に採用されましたが、当時は日本の女子選手だけ国内外の大会で白線黒帯。99年に国際ルールでは禁止になりましたが、国内では2017年までは使用しなければなりませんでした。海外ではジェンダーフリーが進む中、国内では女子柔道はいつまでたっても半人前扱いだったことも、この事件の根底にあると思いました」

 森会長も男女平等などをうたった五輪憲章をしっかり理解していれば、女性蔑視発言には至らなかったはずだが、国内では選手を含めてその認識が極めて不十分だという。「恥ずかしいのですが、私自身も現役時代、五輪憲章の意味は全くわかっていませんでした。なぜなら日本では日常からオリンピズムに触れる機会がないからだと思います」と振り返った。

 しかしフランス女子代表チームのコーチだったときに意識が変わったという。

「教え子の選手たちが日常的にオリンピズムや人権問題について議論していることに瞠目(どうもく)しました。人権の意識が日本人とは全く違います。選手のけんかも人種差別、性差別、民族差別の問題に発展することもありました。そのときコーチたちは『おい、やめろ、自由、平等、博愛の精神を忘れるな!』と場を沈めました。『自由、平等、博愛』はフランス革命の標語で現在でもフランスの標語です。それを耳にしたとき『200年以上前のフランス革命から受け継いだ人権の精神がしっかり根付いている』と感動で身震いしました」

 今回の問題は、もはや組織委だけの枠で収まるものではないようで、全ての日本国民が年齢や立場などを超えて男女平等や多様性について理解を深めていく必要がありそうだ。

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