女性蔑視発言で世界中から批判を浴びた東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)が辞意を固めたことを受け、元日本サッカー協会会長の川淵三郎氏(84)が後任を受諾したが、同氏を悩ませる問題があるという。

 Jリーグクラブ幹部は「川淵さんは適任。選手として東京五輪にも出場しているし、サッカー界はもちろん、バスケ(2リーグ統合の実現)を含めて実績もある。森さんに押し付けられた格好で火中の栗を拾うって感じはあるけど」と話しつつも「出身団体のサッカー界が足を引っ張るかもしれない」と指摘をする。

 どういうことか。川淵氏は今後の東京五輪の開催可否という難局と対峙するが「国内でプロスポーツの興行が行えるのかは五輪開催の目安になる。プロ野球も含め、仮に(26日開幕予定の)Jリーグでクラスターが発生し、ラグビー(トップリーグ)のように『開幕延期』となれば…。それこそ川淵さんを苦しめることになるかも」(同幹部)。

 Jリーグでは沖縄で合宿中のJ1浦和でMF柏木陽介(33)とFW杉本健勇(28)が禁止されている外食をしたことが判明。クラブ側は規律違反の2人に罰金などの処分を下したが、各地で合宿中の各クラブでも気の緩みは隠せない。

 同幹部は「当初の五輪は(東日本大震災の)復興がテーマだったけど、今では〝コロナに打ち勝つ〟に変わってきた」と話した上で「浦和の選手みたいなこともあるし、それでクラスターになって無事に開幕できない可能性だってある。(2月末の時点で)国内で興行を開催できなければ、五輪の開催にも大きく影響する」と危惧した。

 組織委内にも〝火種〟はある。日本サッカー協会関係者は「各省庁から出向で来ている人もいて、川淵さんがトップダウンで何か言ったとしても、森さんほどの影響力があるのか。森さんがサポートするだろうけど、意外に霞が関が敵になるかも」と話す。

 さらに川淵氏は東京都の小池百合子知事(68)と親交が深いこともあって「小池さんは組織委と対立しているみたいだし、川淵さんが顔を立てすぎると(組織委との)板挟みになるかも」(Jリーグ関係者)。

 大会後の選手村の扱いをはじめ、各分野で折衝が必要なため、今後の関係が懸念されそうだ。