森発言をめぐる反応にジェンダー研究者が危機感「現役アスリートは発言しにくい利害関係がある」

2021年02月10日 19時03分

森喜朗会長

 東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)の女性蔑視発言は、一度は収束を図った国際オリンピック委員会(IOC)まで「完全に不適切だ」と改めて声明を発表せざるを得ない事態にまで発展している。

 女性の社会的地位の向上実現などを目指す「ウィメンズ・アクション・ネットワーク」理事長で、ジェンダー研究者の上野千鶴子氏(72)は、この状況をどう見ているのか。

「(この騒動で)発言しているのは引退したアスリートばかり。『取材を申し込んでも断られた』という声をよく聞きます。アスリート・ファーストとか言いながら、アスリートの声が届いてこない。背後にオリンピックを含めてスポーツ界の利権と政治がからんでいて、発言しにくい利害関係があるのでしょう。騒動から数日たって外野の抗議の声が高まっているのに、そうしたスポーツ界の沈黙が不気味」と現役のアスリートから声が上がらない現状に危機感を持っている。

 森会長の発言に対しては「女性の怒りは当たり前ですよ。森さんの発言の中にあった『(女性理事は)わきまえてらっしゃる』というのは女性に対して『お前ら、わきまえろよ』という抑圧効果がある。ある女性が『私にもわきまえ癖がついていた。反省した』という意見を耳にしたり、ネット上では『#わきまえない女』をつけた投稿が広がっています。あの発言はそんな女性の怒りを誘発しました」と語った。

 森会長の進退が取りざたされる中では「辞任していただきたい。この状態を組織委とスポーツ界がこのまま許し続けるのかという踏み絵の役割を果たすでしょう。こういう人物をトップに置き続ける周囲、さらに沈黙するスポーツ界の方が大問題。アスリートの方々に取材申し込みをして断られたなら、断った人のリストを新聞に紹介してほしい」とメディアに対しても要請した。

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