「ヨナ金逸」韓国側の意外な弱腰抗議の裏事情

2014年04月24日 16時00分

キム・ヨナ

 ソチ五輪フィギュアスケート女子でのキム・ヨナ(23、韓国)の“金逸騒動”がなかなか収束しない。ソチ五輪終了から2か月たったというのに、ヨナが銀メダルに終わったことで、韓国スケート連盟は国際スケート連盟(ISU)に正式な異議申し立てを行った。これで韓国がISUとの全面闘争に突入と思いきや、訴えの内容は「不正採点が行われた」ではなく「審判団の構成が倫理規定に違反する」というもの。これには韓国連盟の切実な“お国事情”があった。

 金メダルを獲得したアデリナ・ソトニコワ(17=ロシア)だけではなく、ロシアのプーチン大統領(61)のフェイスブックまでも韓国国民から攻撃を受けた一大騒動が、一つの節目を迎えた。韓国スケート連盟はISUの懲戒委員会に不服申し立てを決行。10日に発送し、すでにISUに受理されている。今後3週間以内に管轄がISUかスポーツ仲裁裁判所(CAS)のいずれになるかが決まる。

 いまだに「ロシアのソトニコワを勝たせるために不正採点が行われた」と騒ぐ、韓国国民の願いはヨナの金メダル“強奪”だ。しかし実際の提訴内容は「不正判定・採点」ではなく「審判団の構成について倫理規定違反がある」というもの。審判団に入っていたロシア連盟事務総長の夫人が競技後にソトニコワと抱擁していた点や、過去に資格停止を受けたことのあるウクライナ人審判員がいた、などという点が倫理規定に違反するとの主張だ。

 ISU側は「不正の証拠を提出せよ」と韓国側に求めていた。それが、不正採点の証しを探し出して玉砕覚悟でISUと闘うことをせず、倫理問題を問うとは何とも中途半端。これには韓国側の切実な事情がある。

「不正採点で訴えなかったのはISUは2002年ソルトレークシティー五輪で(ペア、アイスダンスの)不正採点問題があった際『次に同様の件が起こった場合、競技から除外する』とIOCから警告されているため、と韓国スポーツ界では言われています。大きな騒ぎになり、フィギュアスケートが除外になったら…。次の五輪開催地は韓国の平昌ですからね」(韓国スポーツ事情に詳しい関係者)

 フィギュアスケートは冬季五輪の花形種目。チケット収入や放映権料などで五輪を支える人気競技だ。大会成功のためにはなくてはならないが、まさか自国開催の五輪で除外危機に追いやるわけにはいかない。一方で何らかの手を打たなければ、やたらと熱い韓国国民が黙っていない。苦肉の策として倫理問題で“間”を取ったわけだ。

 今後、ISUがどう出るかが見ものだが、ヨナ自身は判定に納得しているはず。韓国連盟は4年後のことを考えたら、さすがにこのへんでもうやめたほうがいいような気もするが――。